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【判例】 競売申立債権者の抵当権又はその被担保債権の消滅と配当異議の訴えの原因 (平成元年6月1日最高裁)競売申立債権者の抵当権又はその被担保債権の消滅と配当異議の訴えの原因

(平成元年6月1日最高裁)

事件番号  昭和63(オ)1248

 

最高裁判所の見解

民事執行法(以下「法」という。)は、

債権を有する者への正当な弁済を実現するため、

法八九条において、債務者及び配当表の是正によつて

自己への配当額の増加が見込まれる債権者に対して、

配当異議の申出により配当表中異議に係る部分の

配当実施を阻止することを認め、法九〇条において、

右異議に係る債権又は配当の額の存否を配当異議の訴えで

確定することとしており、

配当期日において配当表に記載された債権が

存在しないことを理由として配当異議を申し出、

その債権の不存在を配当異議の訴えの原因とすることができることは

当然の事理というべきである。

 

そして、右各規定は法一八八条において不動産競売について

準用されるところ、その場合についてみても、

法一八三条の規定は法一八一条一項の規定に対応して

手続停止文書を限定する趣旨に出たものであり、

法一八四条の規定は競売申立債権者の

担保権の被担保債権の不存在又は

消滅にかかわらず買受人の所有権取得を

保護するとの趣旨に出たものであつて、

法一八三条及び一八四条の規定が担保権の不存在若しくは

消滅の効果をその当事者間で主張することを禁じ、

又は担保権を消滅させる行為を禁ずるものでないことは明らかである。

 

また、法一八八条において準用する法八四条四項の規定の趣旨は、

競売申立債権者について手続停止文書の提出があつても、

他の債権者について右文書が提出された場合と同様に、

手続の進行を止めないとすることにあり、もとより、

手続停止文書を無視すべきことが定められているものではなく、

あるいは右文書に係る事実の主張が

禁じられることが予定されているものでもない。

 

したがつて、原判決がその論拠として引用する

法の各規定は前記解釈と異なる解釈の根拠となるものではなく、

さらに、法の規定中には競売申立債権者の担保権の不存在又は

消滅を配当異議の訴えの原因とすることを

禁ずる趣旨の規定は存しないというべきである。

 

右によれば、原判決には法一八三条、一八四条、一八八条、八四条四項、

八九条、九〇条の解釈を誤つた違法があり、

これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるので、

原判決は破棄を免れない。

 

四 そこで、前記事実関係に基づき、

本件請求について判断するに、上告人A1は

本件土地の所有者として被上告人の抵当権の

被担保債権を弁済する利益を有し、

また、不動産競売手続が進行し一定の段階に至つたことをもつて、

被上告人が弁済受領を拒絶する正当の理由とすることはできないから、

上告人A1がした被担保債権額の弁済受領の催告は

有効な提供ということができ、被上告人の受領拒絶を

理由とする本件弁済供託により、

被上告人の本件債権は消滅したといわなければならない。

 

そうすると、上告人A1の請求は理由があり、

上告人A2の請求は、同上告人の請求額に満ちるまでの限度で

被上告人への配当に不服をいうものと解すべきところ、

すべて理由があるので、第一審判決を取り消したうえ、

上告人らの各請求をいずれも認容することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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