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【判例】「大森林」という登録商標と「木林森」という商標との類否 (平成4年9月22日最高裁)「大森林」という登録商標と「木林森」という商標との類否

(平成4年9月22日最高裁)

事件番号  平成3(オ)1805

 

最高裁判所の見解

 

1 商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が

その外観、観念、称呼等によって取引者に与える

印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、

しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り、

その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものであって

(最高裁昭和三九年(行ツ)第一一〇号

同四三年二月二七日第三小法廷判決・

民集二二巻二号三九九頁参照)、

綿密に観察する限りでは外観、観念、称呼において

個別的には類似しない商標であっても、

具体的な取引状況いかんによっては類似する場合があり、

したがって、外観、観念、称呼についての総合的な類似性の有無も、

具体的な取引状況によって異なってくる場合も

あることに思いを致すべきである。

 

2 本件についてこれをみるのに、

本件商標と被上告人標章とは、使用されている文字が

「森」と「林」の二つにおいて一致しており、

一致していない「大」と「木」の字は、

筆運びによっては紛らわしくなるものであること、

被上告人標章は意味を持たない造語にすぎないこと、

そして、両者は、いずれも構成する文字からして

増毛効果を連想させる樹木を想起させるものであることからすると、

全体的に観察し対比してみて、両者は少なくとも

外観、観念において紛らわしい関係にあることが明らかであり、

取引の状況によっては、需要者が両者を見誤る可能性は否定できず、

ひいては両者が類似する関係にあるものと

認める余地もあるものといわなければならない。

 

3 原審は、観念による類否について説示するに当たり、

本件商標及び被上告人標章が付されている

頭皮用育毛剤等の需要者は育毛、増毛を強く望む男性であるところ、

かかる需要者は当該商品に付された標章に深い関心を抱き、

注意深く商品を選択するものと推認されるなどとしているのであるが、

必ずしも右のような需要者ばかりであるとは

断定できないことは経験則に照らして明らかであるし、

上告人は、本件商標権について通常使用権を許諾し、

通常使用権者は薬用頭皮用育毛料に本件商標を付して

その関連会社に販売させていると主張しているのであるから、

この主張事実から現れる可能性のある商品の取引の状況も勘案した上、

本件商標と被上告人標章との類否判断がされなければならない。

 

したがって、原審がした右の推認事実のみをもってしては、

両者が類似しないとする理由として十分でないといわざるを得ない。

 

原審は、右のほかに、本件商標が使用される

指定商品の想定可能な取引の状況及び

被上告人標章が使用された被上告人商品について

現に行われている取引の状況を考慮しても、

両者は観念において類似するものと

認めることはできないとしたのみであり、

被上告人商品が訪問販売によっているのかあるいは

店頭販売によっているのか、後者であるとして

その展示態様はいかなるものであるのかなどの

取引の状況についての具体的な認定のないままに、

本件商標と被上告人標章との間の類否を認定判断したものであって、

原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな

法令の解釈適用の誤りないしは

理由不備の違法があるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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