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【判例】タクシー会社におけるストライキ (平成4年10月2日最高裁)タクシー会社におけるストライキ

(平成4年10月2日最高裁)

事件番号  平成1(オ)676

 

最高裁判所の見解

ストライキは必然的に企業の業務の正常な運営を

阻害するものではあるが、その本質は労働者が

労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、

その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を

使用者に利用させないことにあるのであって、

不法に使用者側の自由意思を抑圧しあるいは

その財産に対する支配を阻止するような行為をすることは許されず、

これをもって正当な争議行為と解することはできないこと、また、

使用者は、ストライキの期間中であっても、

業務の遂行を停止しなければならないものではなく、

操業を継続するために必要とする対抗措置を採ることができることは、

当裁判所の判例(昭和二四年(オ)

第一〇五号同二七年一〇月二二日大法廷判決・

民集六巻九号八五七頁、同二七年(あ)

第四七九八号同三三年五月二八日大法廷判決・

刑集一二巻八号一六九四頁、同五二年(あ)

第五八三号同五三年一一月一五日第二小法廷決定・

刑集三二巻八号一八五五頁)の趣旨とするところである。

 

そして、右の理は、非組合員等により操業を継続して

ストライキの実効性を失わせるのが容易であると

考えられるタクシー等の運行を業とする企業の場合にあっても

基本的には異なるものではなく、労働者側が、

ストライキの期間中、非組合員等による

営業用自動車の運行を阻止するために、

説得活動の範囲を超えて、当該自動車等を労働者側の

排他的占有下に置いてしまうなどの行為をすることは許されず、

右のような自動車運行阻止の行為を正当な争議行為とすることはできない

といわなければならない。

 

右タクシー等の運行を業とする企業において、

労働者は、ストライキの期間中、

代替要員等による操業の継続を

一定の限度で実力により阻止する権利を有するようにいう原判示は、

到底是認することのできないものである。

 

これを本件についてみるに、前記のとおり、

原審の確定したところによれば、

F地本が実施した本件ストライキにおいて、

被上告人らは、F地本の決定に従い、

上告会社が本件タクシーを稼働させるのを阻止することとし、

昭和五七年七月九日及び同月一〇日の両日にわたり、

D分会の組合員及びF地本の支援組合員らと共に、

c車庫及びd町車庫に格納された本件タクシーの傍らに座り込み、

あるいは寝転ぶなどして、上告会社の退去要求に応ぜず、結局、

上告会社は、両日にわたり、

本件タクシーを両車庫から搬出することができなかったというのである。

 

右事実によれば、被上告人らは、互いに意思を通じて、

上告会社の管理に係る本件タクシーを

F地本の排他的占有下に置き、上告会社が

これを搬出して稼働させるのを実力で

阻止したものといわなければならない。

 

もっとも、原審の認定した事実によれば、F地本は、

労働条件の改善の要求を貫徹するために

本件ストライキを行ったものであり、

その目的において問題とすべき点はなく、また、

その手段、態様においても、前記一の5記載のような経緯があって、

上告会社の管理に係るタクシー四二台のうち

D分会の組合員が乗務する予定になっていた

本件タクシーのみを運行阻止の対象としたものであり、

エンジンキーや自動車検査証の占有を奪取するなどの手段は採られず、

暴力や破壊行為に及んだものでもなく、

G専務やその他の従業員が両車庫に出入りすることは

容認していたなど、F地本において

無用の混乱を回避するよう配慮した面がうかがわれ、また、

上告会社においても本件タクシーを搬出させてほしい旨を

申し入れるにとどめており、そのため、

被上告人らがその搬出を暴力等の実力行使をもって

妨害するといった事態には至らなかったことは、

原判示のとおりである。

 

しかしながら、これらの事情を考慮に入れても、

被上告人らの右自動車運行阻止の行為は、

前記説示に照らし、争議行為として

正当な範囲にとどまるものということはできず、

違法の評価を免れないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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