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【判例】二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権(平成9年2月25日最高裁)債権執行による差押えと物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合において双方の差押債権者に対し二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権

(平成9年2月25日最高裁)

事件番号  平成5(オ)1612

 

この裁判では、

債権執行による差押えと物上代位権の行使としての差押えとが

競合した場合において双方の差押債権者に対し

二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

 

本件は、被上告人が、上告人が右転付命令を得た当時、

被上告人は買戻権を行使していなかったから、

本件債権は存しておらず、右転付命令は無効であったと主張し、

一の4の支払額相当の金員について不当利得の返還を求めるものである。

 

三 本件において、上告人の申立てによる

差押命令及び転付命令が被上告人及び本件債務者に送達された当時、

被上告人は買戻権を行使しておらず、

右転付命令に係る本件債権はまだ存していなかったから、

右転付命令は、無効であったといわざるを得ない。

 

もっとも、転付命令が無効であっても、差押命令が有効であれば、

差押債権者は取立権を有するので(民事執行法一五五条一項)、

本件においても、上告人が取得した差押命令が有効であれば、

上告人は、右取立権に基づき被上告人から弁済を

受けることができるものと解することができる。

 

しかしながら、本件においては、前記のとおり、

上告人が被上告人から支払を受ける前に、

E信用金庫が根抵当権に基づく物上代位権の行使として

本件債権について差押命令を得、

右命令は被上告人に送達されていたのであるから、

被上告人は、本件債権の全額に相当する金銭を供託する

(同法一五六条)か、優先権を有する

E信用金庫に対して弁済をすべきであった。

 

したがって、上告人が差押命令に基づく取立権を根拠に

被上告人から直接弁済を受けることはできなかったのであって、

被上告人の上告人に対する一の4の支払が

有効な弁済であると解する余地はない。

 

そして、被上告人は、送達を受けた

差押命令及び転付命令において債権者とされていた

上告人に対して支払をした後に、E信用金庫から

提起された取立訴訟において敗訴したため、同金庫に対し、

二重に弁済をしたのであるから、上告人に対し、

不当利得として右支払金員の返還を

求めることができるものと解すべきである。

 

したがって、被上告人の上告人に対する本件請求を認容した原審の判断は、

結論において是認することができる。

 

所論引用の判例(最高裁昭和三七年(オ)

第九〇九号同四〇年七月九日第二小法廷判決・

民集一九巻五号一一七八頁)は、仮差押えと差押えとが

競合する場合において、民訴法旧六〇二条に基づく

取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の

弁済の効力に関するものであって事案を異にし、本件に適切でない。

 

論旨は、原判決の結論に影響のない事項についての違法をいうか、

又は独自の見解に基づいて原判決を非難するものであって、

採用することができない。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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