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【判例】仮換地指定処分における照応原則違反の有無の判断基準 (平成元年10月3日最高裁)仮換地指定処分における照応原則違反の有無の判断基準

(平成元年10月3日最高裁)

事件番号  昭和63(行ツ)104

 

最高裁判所の見解

1 土地区画整理事業は、健全な市街地を造成して

公共の福祉の増進に資することを目的とし、

公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、

土地の区画形質の変更及び公共施設の新設等を行うものであるが(法一条、二条一項)、

施行者は、法九八条一項に基づいて仮換地を指定する場合においても、

法八九条一項所定の基準を考慮してしなければならない(法九八条二項)。

 

土地区画整理は、施行者が一定の限られた施行地区内の宅地につき、

多数の権利者の利益状況を勘案しつつ

それぞれの土地を配置していくものであり、また、

仮換地の方法は多数ありうるから、

具体的な仮換地指定処分を行うに当たっては、

法八九条一項所定の基準の枠内において、

施行者の合目的的な見地からする裁量的判断に委ねざるをえない面があることは

否定し難いところである。

 

そして、仮換地指定処分は、指定された仮換地が、

土地区画整理事業開始時における従前の宅地の状況と比較して、

法八九条一項所定の照応の各要素を総合的に考慮してもなお、

社会通念上不照応であるといわざるをえない場合においては、

右裁量的判断を誤った違法のものと判断すべきである。

 

2 本件についてこれをみるに、前記の事実関係によれば、

従前地甲は、本件土地区画整理事業により

新設される道路により南北に分断され、

その半分近くが道路敷地となる位置に所在していたのであるから、

右道路新設の計画を前提とする限り、

その原位置に仮換地指定を行うことは事実上不可能であること、

仮換地甲は従前地甲の南方約四〇メートルの位置に

指定されたものであるが、その位置は、

右新設道路の南側に所在するd街区内の東南の角地であって、

従前地甲の近傍地といってよく、また、

従前地甲はその東側境界線部分しか接道していなかったのに対し、

仮換地甲は、その東側及び南側の二面において接道すること、

従前地甲の大部分は以前から農地として利用されており、

仮換地甲が右位置に指定されたことにより、

仮換地甲、乙及び被上告人の前記小作地の三筆につき、

被上告人による一体的な利用が可能となること、

仮換地交付率も八六・一パーセントであって、

減歩率もさほど高いものではないこと、また、

本件素案は、あくまでも最終的な仮換地案作成に至る過程の段階における

一試案にすぎないものであるうえ、仮換地甲、

乙の合計地積は、本件素案による素案仮換地甲、乙の

それに比して一二五平方メートル

(仮換地甲のみについてみれば七二平方メートル)増加

していることなどが明らかであり、

これらの諸点にかんがみると、

前記のような被上告人とD、Fとの関係及び本件素案が

変更されるに至った経緯を考慮しても、

本件甲処分は、社会通念上不照応なものであるとはいえず、

もとより、他の者と比較して、被上告人に対し著しく

不利益であって、不公平なものであるともいえない。

 

したがって、本件甲処分は、上告人が前記の裁量的判断を誤って

したものとはいえず、法八九条一項に違反するものではないというべきである。

 

3 以上説示したところによれば、

本件甲処分が法八九条一項に違反したものということはできないのであるから、

本件甲処分が右規定に違反するとした原審の判断には、

右規定の解釈適用を誤った違法があるものといわなければならず、

右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、

論旨は理由があり、原判決中、上告人敗訴部分は、

その余の論旨について判断するまでもなく、破棄を免れない。

 

そして、右に説示したところに照らせば、

原審が適法に確定した前記事実関係のもとにおいて、

本件甲処分に被上告人主張の違法はなく、

その取消しを求める被上告人の本訴請求が理由のないことは

明らかというべきである。

 

したがって、被上告人の本訴請求を棄却した第一審判決は正当であって、

これに対する被上告人の控訴は理由がないものとして、

これを棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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