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【判例】仮登記仮処分命令に基づく仮登記と破産法74条1項による否認 (平成8年10月17日最高裁)仮登記仮処分命令に基づく仮登記と破産法74条1項による否認

(平成8年10月17日最高裁)

事件番号  平成7(オ)1060

 

最高裁判所の見解

仮登記は、それ自体で対抗要件を充足させるものではないが、

本登記の際の順位を保全し、破産財団に対しても

その効力を有するものであるから、

仮登記も対抗要件を充足させる行為に準ずるものとして

破産法七四条一項の否認の対象となるものと解すべきである。

 

そして、破産者の支払停止の後に、これを知った根抵当権者が

不動産登記法三三条による仮登記仮処分命令を得て

根抵当権設定仮登記をした場合には、

破産管財人は、破産法七四条一項によって右行為を

否認することができるものと解するのが相当である。

 

けだし、権利の変動について対抗要件を充足させる行為は、

破産者の行為又はこれと同視すべきものに限り否認し得るものであるところ

(最高裁昭和三七年(オ)第三七四号同四〇年三月九日第三小法廷判決・

民集一九巻二号三五二頁参照)、仮登記仮処分命令を得てする仮登記は、

仮登記権利者が単独で申請し、

仮登記義務者は関与しないのであるが(不動産登記法三二条)、

その効力において共同申請による仮登記と何ら異なるところはなく、

否認権行使の対象とするにつき両者を区別して

扱う合理的な理由はないこと、実際上も、仮登記仮処分命令は、

仮登記義務者の処分意思が明確に認められる文書等が存するときに

発令されるのが通例であることなどにかんがみると、

仮登記仮処分命令に基づく仮登記も、

破産者の行為があった場合と同視し、

これに準じて否認することができるものと

解するのが相当であるからである。

 

以上の見地に立って本件をみると、前記の事実関係によれば、

上告人は、根抵当権設定契約の日から一五日を経過した後に、

D工業の支払停止を知って、仮登記仮処分命令の申請をし、

その命令を得て、本件仮登記をしたものということができるから、

被上告人は、破産法七四条一項により

これを否認することができるものというべきである。

 

根抵当権設定登記がされなかった原因が

D工業にあるか否かは、

右判断を左右しない。原審の判断は、

右と同趣旨をいうものとして是認することができ、

原判決に所論の違法はない。

 

論旨は、原判決の結論に影響のない事項について原判決の違法をいうか、

又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、

採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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