スポンサードリンク

【判例】使用電力量の計量装置の設定の誤りにより数年度にわたり過大に支払われた電気料金 (平成4年10月29日最高裁)使用電力量の計量装置の設定の誤りにより数年度にわたり過大に支払われた電気料金

(平成4年10月29日最高裁)

事件番号  平成3(行ツ)171

 

最高裁判所の見解

所論の点に関する原審の事実認定は、

原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、

右事実及び原審が適法に確定したその余の事実関係によれば、

(1) D株式会社(以下「D」という。)は、

計量装置の計器用変成器の設定誤りにより、

昭和四七年四月から同五九年一〇月までの間、

上告人から電気料金等(電気料金、契約超過違約金及び

電気税をいう。以下同じ。)を過大に徴収していた、

(2) Dは昭和五九年一二月ころに至り、

この事実を初めて発見したため、同月一四日、上告人に対して、

これを伝えて陳謝し、同月二一日、

右期間に係る過収電気料金の概算額を伝えた、

(3) その後、Dは、右過収電気料金の返戻額の算定作業を進める一方で、

上告人に対し、年六パーセントの割合による利息を単利計算によって

付加して支払うこと、Dが特別徴収義務者として

上告人から過大に徴収した電気税については、

昭和五九年度分の税額に当たる額のみを返金し、

その余の部分は上告人が放棄することなどを申し入れ、

上告人もこれを了承した、

(4) 右のような交渉を経て、Dは上告人に対し、

昭和六〇年三月二八日、本件過収電気料金等一億五三一一万一八一九円を含む

具体的精算金額を提示し、Dで作成した案どおりの確認書を

取り交わすことを申し入れたところ、上告人もこれを了承し、

翌三月二九日、本件確認書が取り交わされるに至った、

(5) 本件過収電気料金等のうち電気料金の額は、

昭和四七年四月から同四八年九月までの間の上告人の

使用電力量を明らかにする資料が残っていなかったため、

その間の過収電力量料金の額を昭和四八年一〇月から

同四九年九月までの一年間の一箇月平均使用電力量を

基礎として推計することによって算出した、

(6) 本件確認書には精算終了条項があり、これにより、

上告人とDとの間において、過収電気料金等に係る

精算を終了する旨が確認されている、というのである。

 

右事実関係によれば、上告人は、昭和四七年四月から

同五九年一〇月までの一二年間余もの期間、

Dによる電気料金等の請求が正当なものであるとの

認識の下でその支払を完了しており、

その間、上告人はもとよりDでさえ、

Dが上告人から過大に電気料金等を徴収している事実を

発見することはできなかったのであるから、

上告人が過収電気料金等の返還を受けることは

事実上不可能であったというべきである。

 

そうであれば、電気料金等の過大支払の日が属する各事業年度に

過収電気料金等の返還請求権が確定したものとして、

右各事業年度の所得金額の計算をすべきであるとするのは相当ではない。

 

上告人のDに対する本件過収電気料金等の返還請求権は、

昭和五九年一二月ころ、Dによって、

計量装置の計器用変成器の設定誤りが発見されたという

新たな事実の発生を受けて、右両者間において、

本件確認書により返還すべき金額について合意が成立したことによって

確定したものとみるのが相当である。

 

したがって、本件過収電気料金等の返戻による収益が

帰属すべき事業年度は、右合意が成立した

昭和六〇年三月二九日が属する本件事業年度であり、

その金額を右事業年度の益金の額に算入すべきものであるとした

原審の判断は、正当として是認することができ、

原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク