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【判例】元厚生事務次官宅連続襲撃事件(平成26年6月13日最高裁)元厚生事務次官宅連続襲撃事件

(平成26年6月13日最高裁)

事件番号  平成24(あ)193

 

最高裁判所の見解

本件は,被告人が,元厚生事務次官らの殺害を企て,

(1) 元厚生事務次官及びその妻に対し,それぞれ,

その胸部等を包丁で数回突き刺すなどし,

両名を失血死させて殺害し,

(2) 別の元厚生事務次官の妻に対し,

その胸部を包丁で数回突き刺すなどしたが,

同女が逃げ出したため殺害の目的を遂げず,

(3)元社会保険庁長官で元最高裁判事の自宅近辺に,

刃物等を積み込んだ自動車で赴くなどして,

もって殺人の予備をし,(4) (3)の際,

包丁等の刃物10本を不法に携帯したという事案である。

 

被告人は,子供の頃に飼い犬が殺処分に遭ったこと等の

「仇討ち」をするという考えを抱き続けていたところ,

本件当時の厚生労働行政一般に対する不満等を募らせ,

元官僚への憤りを強めて具体的な殺害計画を立てて本件に及んだものであって,

犯行の経緯,動機は独善的で酌量の余地がない

(なお,記録によれば,このような動機が病的な妄想に

支配されているという見方は採り得ないとして,

被告人の完全責任能力を肯定した原判断は,正当である。)。

 

被告人は,相当な期間にわたり,

殺害の対象とする元厚生事務次官らを選び出し,

犯行の日時・順序,用いる凶器,殺害の手段・方法等につき

入念に計画を練り,目的達成を

確実にするため周到な準備を進めたものであり,

本件は,元厚生事務次官やその殺害の妨げになるなどした場合には

その家族に対する確定的かつ強固な殺意に基づく,

極めて高い計画性を有する犯行である。

 

(1)の殺害方法は,宅配業者を装い,

その応対に出るなどした被害者2名に対し,

その胸部等を包丁で数回突き刺して

失血死させるという冷酷かつ残忍なものであり,

(2)の犯行もほぼ同様の方法によるものである。

 

被害者らに全く落ち度はない。2名の命を奪い,

1名に心停止の危険が高い状態に陥らせ,

重篤な後遺症が残る傷害を負わせた結果は誠に重大であり,

遺族及び(2)の被害者の処罰感情が峻烈であるのも当然である。

 

また,元厚生事務次官等を襲った連続的な犯行として,

社会に与えた衝撃も大きい。

 

以上のような諸事情に照らすと,

その刑事責任は極めて重大であって,

罰金刑以外の前科が見当たらないことなど,

被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,

原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,

やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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