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【判例】児童福祉法(昭和61年法律第109号による改正前のもの)56条1項、2項と憲法25条(平成2年7月20日最高裁)児童福祉法(昭和61年法律第109号による改正前のもの)56条1項、2項と憲法25条

(平成2年7月20日最高裁)

事件番号  平成1(行ツ)173

 

最高裁判所の見解

憲法八四条に規定する租税とは、国家が、

その課税権に基づき、特別の給付に対する反対給付としてでなく、

その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、

一定の要件に該当するすべての者に課する

金銭給付をいうものと解されるが

(最高裁昭和五五年(行ツ)第一五号同六〇年三月二七日大法廷判決・

民集三九巻二号二四七頁)、いわゆる保育料は、

保育所へ入所して保育を受けることに対する反対給付として

徴収されるものであって、租税には当たらないから、

憲法八四条、九二条違反をいう主張は、

その前提を欠く。論旨は、採用することができない。

 

同第二について

児童福祉法(昭和六一年法律第一〇九号による改正前のもの。

以下「法」という。)五一条一号は、

市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が

法二四条本文により児童を保育所へ入所させて

保育する措置をとった場合において、

入所後の保護につき法四五条の最低基準を維持するために

要する費用は、市町村(特別区を含む。

以下同じ。)の支弁とする旨定めているが、

法五六条一項、二項は、市町村が支弁する

法五一条一号所定の費用について、

原則として全額を本人又は扶養義務者(以下「扶養義務者等」という。)に

負担させることとして、

市町村長がこれを扶養義務者等から徴収することとし、

例外的に市町村長において扶養義務者等の負担能力が不足又は

欠缺すると認めるときは、その分につき軽減又は

免除して市町村がこれに代わって

負担することとしているものと解するのが相当である。

 

これと同旨の原審の判断は正当であって、

原判決に所論の違法はない。

 

そして、法五一条一号所定の費用の全額徴収等を定めた

法五六条一項、二項の規定は、

それ自体合理性のないものとはいえず、

右規定が憲法二五条に違反するものでないことは、

当裁判所昭和五一年(行ツ)第三〇号同五七年七月七日大法廷判決

(民集三六巻七号一二三五頁)の趣旨に徴して明らかである。

 

市町村長は、法五六条一項により徴収すべき費用について

扶養義務者等が負担能力を有しないときは、

同条二項により負担を軽減ないし免除すべきものとされているのであって、

これにより経済力の乏しい者が保育を受ける機会を失うという事態は

回避され得るものである。これと異なる見解に立って

同条一項、二項の憲法一四条違反をいう主張は、

その前提を欠く。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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