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【判例】共同抵当の関係にある不動産の一部に対する抵当権の放棄とその余の不動産の譲受人 (平成3年9月3日最高裁)共同抵当の関係にある不動産の一部に対する抵当権の放棄とその余の不動産の譲受人

(平成3年9月3日最高裁)

事件番号  昭和61(オ)1194

 

最高裁判所の見解

債務者所有の抵当不動産(以下「甲不動産」という。)と

右債務者から所有権の移転を受けた第三取得者の

抵当不動産(以下「乙不動産」という。)とが

共同抵当の関係にある場合において、

債権者が甲不動産に設定された抵当権を放棄するなど故意又は

懈怠によりその担保を喪失又は減少したときは、

右第三取得者はもとより乙不動産のその後の譲受人も

債権者に対して民法五〇四条に規定する免責の効果を

主張することができるものと解するのが相当である。

 

すなわち、民法五〇四条は、

債権者が担保保存義務に違反した場合に法定代位権者の責任が

減少することを規定するものであるところ、

抵当不動産の第三取得者は、債権者に対し、

同人が抵当権をもって把握した右不動産の

交換価値の限度において責任を負担するものにすぎないから、

債権者が故意又は懈怠により担保を喪失又は減少したときは、

同条の規定により、右担保の喪失又は減少によって

償還を受けることができなくなった金額の限度において

抵当不動産によって負担すべき右責任の全部又は一部は

当然に消滅するものである。

 

そして、その後更に右不動産が第三者に譲渡された場合においても、

右責任消滅の効果は影響を受けるものではない。

 

これを本件についてみるのに、

Fは、G物件につき確定判決を登記原因として

前記否認の登記を経由した結果、抵当不動産の

第三取得者となったものであるところ、

被上告人が昭和五一年一二月二一日、G物件と

共同担保の関係にあるK物件の抵当権を放棄した結果、

これによって、Fは本件抵当権につきK物件から

償還を受けることができなくなった金額の限度において

その責めを免れたことになり、

その後右免責の効果の生じたG物件を取得した上告人も、

被上告人に対し、右免責の効果を

主張することができることになる。

 

したがって、被上告人が、前記競売手続において、

G物件の競売代金から、右免責により減縮された

責任の額を超えて金員の交付を受けた場合においては、

被上告人は法律上の原因なくして右金員を不当に利得したことになる。

 

してみると、これと異なり、上告人は被上告人に対し

右免責の効果を主張することができないとした原審の判断は、

民法五〇四条の解釈適用を誤った違法があり、

その違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、

この点の違法をいう論旨は理由があり、

その余の論旨について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そこで、右免責の額等について更に審理を尽くさせるため、

本件を原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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