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【判例】原子炉設置許可の段階における安全審査の対象 (平成4年10月29日最高裁)原子炉設置許可の段階における安全審査の対象

(平成4年10月29日最高裁)

事件番号  平成2(行ツ)147

 

最高裁判所の見解

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する

法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。

以下「規制法」という。)二四条一項四号は、

原子炉設置許可の基準として、原子炉施設の位置、構造及び

設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。)、

核燃料物質によって汚染された物(原子核分裂生成物を含む。)又は

原子炉による災害の防止上支障がないものであることと規定しているが、

それは、原子炉施設の安全性に関する審査が、

多方面にわたる極めて高度な最新の科学的、

専門技術的知見に基づいてされる必要がある上、

科学技術は不断に進歩、発展しているのであるから、

原子炉施設の安全性に関する基準を具体的かつ詳細に

法律で定めることは困難であるのみならず、

最新の科学技術水準への即応性の観点からみて適当ではないとの

見解に基づくものと考えられ、

右見解は十分首肯し得るところである。

 

しかも、同条二項に、設置許可に当たっては、

申請に係る原子炉施設の位置、

構造及び設備の安全性に関する審査の適正を確保するため、

各専門分野の学識経験者等を擁する

原子力委員会の科学的、専門技術的知見に基づく意見を聴き、

これを尊重するという、慎重な手続が定められていることを考慮すると、

右規定が明確、適正な許可基準を定立していないとの

非難は当たらないというべきである。

 

したがって、右規定が不明確、不適正であることを前提とする

所論憲法三一条違反の主張は、その前提を欠く。

 

また、行政手続は、憲法三一条による保障が

及ぶと解すべき場合であっても、

刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、

行政目的に応じて多種多様であるから、

常に必ず行政処分の相手方等に事前の告知、弁解、防御の機会を

与えるなどの一定の手続を設けることを必要とするものではないと

解するのが相当である。

 

そして、原子炉設置許可の申請が規制法二四条一項各号所定の基準に

適合するかどうかの審査は、

原子力の開発及び利用の計画との適合性や

原子炉施設の安全性に関する極めて

高度な専門技術的判断を伴うものであり、

同条二項は、右許可をする場合に、

各専門分野の学識経験者等を擁する原子力委員会の意見を聴き、

これを尊重してしなければならないと定めている。

 

このことにかんがみると、所論のように、

原子力基本法(昭和五三年法律第八六号による改正前のもの)及び

規制法が、原子炉設置予定地の周辺住民の同意、公聴会の開催、

周辺住民に対する告知、聴聞の手続及び安全審査に関する

全資料の公開に関する定めを置いていないからといって、

右各法が憲法三一条の法意に反するものとはいえない。

 

以上のことは、最高裁昭和六一年(行ツ)第一一号

平成四年七月一日大法廷判決(民集四六巻五号四三七頁)

の趣旨に徴して明らかである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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