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【判例】商法43条2項の準用する38条3項にいう「善意の第三者」 (平成2年2月22日最高裁)商法43条2項の準用する38条3項にいう「善意の第三者」

(平成2年2月22日最高裁)

事件番号  昭和60(オ)1300

 

最高裁判所の見解

商法四三条一項は、番頭、手代その他営業に関するある種類又は

特定の事項の委任を受けた使用人は、

その事項に関し一切の裁判外の行為をなす権限を有すると

規定しているところ、右規定の沿革、文言等に照らすと、

その趣旨は、反復的・集団的取引であることを特質とする商取引において、

番頭、手代等営業主からその営業に関するある種類又は

特定の事項(例えば、販売、購入、貸付、出納等)を

処理するため選任された者について、

取引の都度その代理権限の有無及び範囲を

調査確認しなければならないとすると、

取引の円滑確実と安全が害される虞れがあることから、

右のような使用人については、客観的にみて

受任事項の範囲内に属するものと認められる

一切の裁判外の行為をなす権限すなわち包括的代理権を有するものとすることにより、

これと取引する第三者が、代理権の有無及び

当該行為が代理権の範囲内に属するかどうかを

一々調査することなく、安んじて取引を行うことが

できるようにするにあるものと解される。

 

したがって、右条項による代理権限を主張する者は、

当該使用人が営業主からその営業に関するある種類又は

特定の事項の処理を委任された者であること及び

当該行為が客観的にみて右事項の範囲内に属することを

主張・立証しなければならないが、

右事項につき代理権を授与されたことまでを

主張・立証することを要しないというべきである。

 

そして、右趣旨に鑑みると、同条二項、三八条三項にいう

「善意ノ第三者」には、

代理権に加えられた制限を知らなかったことにつき

過失のある第三者は含まれるが、

重大な過失のある第三者は含まれないものと解するのが相当である。

 

原審は、右と同旨の見解に立ち、Dが、上告人のE係長として、

その担当業務である洋装衣料品の売買取引に

関する業務を処理していた事実を認定して、

同人は商法四三条一項所定の使用人に当たるものとし、かつ、

その代理権に加えられた制限を知らなかったことにつき

被上告人の代理人であるFに重大な過失があったとは認められないとして、

被上告人の請求を認容しているのであって、

右認定判断は原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、

原判決に所論の違法はない。論旨は、

ひっきょう、独自の見解に立って原判決を論難するか、

又は原審の専権に属する事実の認定、証拠の取捨判断を

非難するものにすぎず、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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