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【判例】国が補助金を交付した国立公園事業の施設が複合的な施設である場合と国家賠償法3条1項所定の費用負担者 (平成元年10月26日最高裁)国が補助金を交付した国立公園事業の施設が複合的な施設である場合と国家賠償法三条一項所定の費用負担者

(平成元年10月26日最高裁)

事件番号  昭和60(オ)901

 

最高裁判所の見解

国が、自然公園法一四条二項により地方公共団体に対し

国立公園に関する公園事業の一部執行として

特定の営造物を設置することを承認したうえ、

同法二五条により右地方公共団体が負担すべきものとされている

その設置管理(補修を含む。)の費用について同法二六条に基づく

補助金を度々交付し、その額が右地方公共団体の負担額と

同等又はこれに近い額に達している場合には、国は、

当該営造物についての費用負担の点においては

国家賠償法三条一項にいう費用負担者に当たるものということができる

(最高裁昭和四八年(オ)第八九六号同五〇年一一月二八日第三小法廷判決・

民集二九巻一〇号一七五四頁参照)。

 

しかしながら、この場合、当該公園事業に関する施設が、

社会通念上独立の営造物と認められる複数の営造物によって

構成される複合的な施設(以下「複合的施設」という。)であって、

その設置管理に瑕疵があるとされた特定の営造物が

右複合的施設を構成する個々の

施設(以下「個別的施設」という。)であるときは、

当該個別的施設と複合的施設を構成する他の施設とを

一体として補助金が交付された場合などの特段の事情がない限り、

右費用負担者に当たるか否かは、当該個別的施設について

費用負担の割合等を考慮して判断するのが相当である。

 

けだし、地方公共団体は、自然公園法一四条二項に基づく

承認を受けて執行する国立公園に関する公園事業施設について

補助金の交付を申請する場合には、特定の施設ないし

その部分についての設置、補修工事等を特定して申請し、国は、

右申請を受けて、国家的観点から個別にその必要性を判断して

補助をするか否かを決定すべきものとされているのであり、

また、国が補助金の交付を通じて地方公共団体に対し

具体的に危険防止の措置を要求することができるのは、

補助金が交付された設置、補修等の工事の範囲に限られるからである。

 

これを本件についてみると、本件道路は、起点をd、

終点をT発電所とし、同時に五人以上の

登山者の渡橋に耐えられる程度の規模構造を備えた

一三の吊り橋のほか、木橋、歩道などによって構成され、

そのうち本件事故の原因となった本件吊り橋は、

直径二一・五ミリメートルの二本のメーンワイヤーで支持され、

本来ならば一〇人程度の渡橋に耐えられるように設計されている

全長約四六メートルに及ぶ橋であるというのであるから、

本件道路は、前記複合的施設に該当し、

本件吊り橋は社会通念上本件道路の他の施設とは

別個独立の営造物と認められるべきものである。

 

そして、上告人は、本件吊り橋を含む本件道路全体についてみると、

三重県に対し一一回にわたり架設補修工事を承認し、

その際その事業費の半額に相当する補助金を交付したもので、

その限りでは上告人の費用負担の割合は

費用全体の二分の一に達しているが、

本件吊り橋のみについてみると、

その架設については費用を負担しておらず、

同県がした四回の補修工事のうち本件事故の

一〇年以上前である昭和四三年に行われた

一回の工事についてのみその費用の二分の一に当たる

一三万五九九二円を補助金として交付したに過ぎず、

上告人の本件吊り橋の補修費用負担の割合は同県の

負担額の四分の一に過ぎないというのである。

 

そうすると、右補助金の交付においては、

本件吊り橋の設置管理費用と本件道路の他の施設の設置管理費用とは、

区別されていることが認められるとともに、

他に本件吊り橋を本件道路の他の施設と一体として

判断すべき特段の事情がある場合には

当たらないと認められるから、

本件吊り橋の設置管理の費用として交付された補助金のみを

基準として費用負担者に当たるか否かを判断すべきであり、

本件吊り橋に対する前示の補助金の額、

内容、交付の時期、回数、三重県との負担の割合等に照らすと、

上告人は、本件吊り橋について国家賠償法三条一項にいう

費用負担者に当たらないというべきである。

 

以上によれば、上告人が同項にいう費用負担者に当たるとした

原審の判断は、法令の解釈適用を誤ったものというべきであり、

その違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、

右の違法をいう論旨は理由がある。

 

そして、右に説示したところによれば、

被上告人らの請求は理由がないことに帰するから、

原判決を破棄し、被上告人らの請求を一部認容した

第一審判決中右請求認容にかかる上告人敗訴の

部分を取り消した上、被上告人らの請求を棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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