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【判例】土地賃借権譲渡契約につきその譲渡の効力が契約締結時に発生するとして締結されたと解された事例 (昭和63年9月8日最高裁)土地賃借権譲渡契約につきその譲渡の効力が契約締結時に発生するとして締結されたと解された事例

(昭和63年9月8日最高裁)

事件番号  昭和59(オ)147

 

最高裁判所の見解

本件建物の売買契約の約定をみるに、売買契約書中には、

本件建物の売渡ないし本件土地の賃借権の譲渡の効力発生について、

上告人の承諾を停止条件とする趣旨を直接定めた条項はなく、かつ、

右の趣旨の特約が口頭によつてされたとの主張立証もないから、専ら、

売買契約書中の本件特約事項が売買契約の

約定全体との関係及び契約前後の当事者の行為などから

右の趣旨に解釈されるか否かという契約の解釈の問題に帰するところ、

(一) 原審の認定したところによれば、売買代金七五〇万円のうち

その四割にも相当する三〇〇万円もの代金が手附金として

契約時に支払うべき約定になつており、かつ、

右の手附金は約定どおり支払済みであり、また、

買受人である亡Dは、約定によれば契約締結と同時に

本件建物に入居することができ、かつ、亡Dは、

右約定どおり契約締結のころ家族とともに本件建物に入居しており、

しかも、亡Dは、本件建物に入居後その程度は

ともかくとして本件建物に造作工事を施している、

というのであつて、売買契約の右の約定及び契約当事者の右の行為は、

本件建物の売渡及び本件土地の賃借権の譲渡の効力発生は契約締結と

同時であったと解してはじめて矛盾なく説明しうるものであり、

(二) 本件特約事項は、地主たる上告人の承諾が得られずに

本件建物の売買契約を解消せざるをえなくなつた場合には、

契約締結によつて発生した法律上及び事実上の関係の処理につき、

両者が協議によつて円満に解決するといういわば

当然の事理をうたつたにすぎないものと解するのが自然であり、

(三) 更に、記録によれば、亡D、被上告人B2及びその家族は、

本訴の提起された昭和五二年一一月七日から原審が

口頭弁論を終結した昭和五八年八月九日までの長期間、

本件建物に入居したままの状態であり、しかも、

上告人が本件土地の賃借権の譲渡についての承諾を

拒絶する意思を明らかにして本件訴訟を

提起・維持しているにもかかわらず、

被上告人らは、被上告人B1と亡Dないし

被上告人B2との間の本件建物利用の法律関係を明確にしないまま、

右の状態を変更する意思を示していないことがうかがわれ、

以上の点に照らすならば、他に特段の事情のない限り、

本件建物の売買契約は、契約締結と同時に

本件建物の所有権移転の効果が発生し、したがつて、

本件土地の賃借権の譲渡の効力も発生するものとして

締結されたものと解釈するのが相当である。

 

四 そうすると、以上と異なり、原審の認定した前記事実関係から、

本件建物の所有権移転及び本件土地の賃借権の譲渡の効力発生について

停止条件が付されていたものと解釈すべきであるとして、

上告人のした本件土地の賃貸借契約解除の意思表示は

民法六一二条一項の賃借権の譲渡がないのにされたもので

無効であるとした原審の判断には、

契約の解釈を誤つた違法があるものといわざるをえず、かつ、

右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は、右の趣旨をいう点において理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

また、上告人は、原審において、

本件建物を実質上買い受けたのは被上告人B2であるとの

被上告人らの主張を援用し、本件建物収去、

本件土地明渡の請求を、被上告人B1に対して求める外は、

被上告人B2に対してのみ求めているが、

この主張事実と原判決が認定した、

亡Dが本件建物を買い受けたとの前記事実関係との関連についても、

更に審理を尽くすのが相当である。

したがつて、本件を原審に差し戻すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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