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【判例】地方団体の徴収金につき連帯納入義務者がある場合の法定納期限等 (平成元年7月14日最高裁)地方団体の徴収金につき連帯納入義務者がある場合の法定納期限等

(平成元年7月14日最高裁)

事件番号  昭和60(オ)109

 

最高裁判所の見解

地方税法一四条の一〇は、いわゆる地方税優先の原則と

担保物権公示の原則との調整の観点から、

地方税債権と抵当権の被担保債権との優先劣後につき、

「納税者又は特別徴収義務者が地方団体の徴収金の

法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、

その地方団体の徴収金は、その換価代金につき、

その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。」と

規定しているところ、料飲税に係る地方団体の

徴収金の法定納期限等についてみるに、料飲税については、

地方税法(昭和六三年法律第一一〇号による改正前のもの)一一九条二項所定の

期限以前に納入申告書を提出したことにより税額が

確定した場合においては、右期限が法定納期限等となる

(地方税法一四条の九第一項各号列記以外の部分)が、

右期限後に税額が確定した場合においては、

それが期限後申告によるときには、その申告があつた日が、

それが地方税法一二四条二項の決定によるときには

その納入告知書(同法一三条一項)を発した日が、

それぞれ法定納期限等となり(同法一四条の九第一項一号)、

加算金、延滞金については、その徴収の基因となつた

料飲税の法定納期限等が

その法定納期限等となる(同項各号列記以外の部分)ことが明らかである。

 

そして、地方団体の徴収金の連帯納入義務については、

連帯債務に関する民法四三二条から四三四条まで、

四三七条及び四三九条から四四四条までの規定を

準用するものとされているところ(地方税法一〇条)、

連帯納入義務者の一人について生じた税額確定の効力は、

他の連帯納入義務者との関係において

絶対的効力を生ずるものではなく、

民法四四〇条の準用により単に相対的効力を生ずるにとどまるものであつて、

連帯納入義務者に対する税額確定の手続は、

連帯納入義務者ごとに各別に行われることを

要するものと解するのが相当であるから、

地方税法一四条の一〇を適用する場合における

法定納期限等もこれに応じて各連帯納入義務者ごとに

相対的に定まるものというべきである。

 

これを本件についてみるに、原審の適法に確定した前記の事実関係によれば、

D及びL観光並びにMは、本件徴収金につき、

ともに特別徴収義務者として連帯納入義務を負担しているものであるところ、

D及びL観光は、所定の納入申告書(一部期限後申告)を提出し、

その都度、税額は確定していたのであるが、

Mは納入申告書を提出しなかつたというのであるから、

同人との関係においては、前記地方税法一二四条二項に基づく

各決定によりはじめて税額が確定することに

なつたものといわなければならない。

 

したがつて、本件徴収金につき、

D及びL観光との関係での法定納期限等は、

本来の法定納期限(一部期限後申告のあつた分については、

当該申告の日)ということになるけれども、

このことは、なんらMとの関係で税額を確定し、かつ、

法定納期限等を右と同時期とみるべき効力を生じるものではなく、

同人との関係における法定納期限等は、あくまでも、

同人に対する税額を確定させる効力を有するものとしてされた

前記各決定の通知書兼納入告知書を発した日と解すべきことは

前記の説示に照らして明らかである。

 

そうすると、本件抵当権の設定登記の日である

昭和五三年四月二八日の段階においては、

Mに対する昭和五二年六月一八日、同年九月八日及び

昭和五三年二月二〇日の各決定に係る

決定通知書兼納入告知書は発せられていたものの、

未だ同年七月一九日の決定に係る決定通知書兼納入告知書は

発せられていなかつたのであるから、

本件徴収金の一部である本件料飲税債権のうち

前三決定に係る部分である一二九八万二九一七円は

本件抵当権の被担保債権に優先するものとして、

被上告人においてその額の配当を受けるべきものであるが、

同年七月一九日の決定に係る部分(本件債権部分)は、

右被担保債権に次いで徴収すべきものであり、

 

したがつて、上告人主張の右被担保債権が存在するのであれば、

上告人は、本件支払表の支払順位3に記載された

上告人に対する支払額三五七万四七二七円に

本件債権部分の額を加えた一二三二万三九七二円の配当を

受けることができるものといわなければならない。

 

以上によると、右被担保債権と本件料飲税債権との

優先劣後を決すべき基準であるMに関する

本件徴収金の法定納期限等は、同人に対して

納入告知書を発した日ではなく、D又は

L観光のした納入申告に基づく

法定納期限等であると解した原判決には、

法令の解釈適用を誤つた違法があり、原判決中、

本件支払表の変更を求める上告人の本訴請求のうち

支払順位2の被上告人に対する支払額を

一二九八万二九一七円とし、

支払順位3の上告人に対する支払額を一二三二万三九七二円とする限度で

これを変更することを求める請求をも棄却すべきものとして

上告人の控訴を棄却した部分は破棄を免れない。

 

論旨は、右の限度において理由があるが、

本訴請求のうち上告人に対する支払額を

一二三二万三九七二円を超える額に変更することを

求める請求を認容する余地はないから、

原判決中、右請求を棄却すべきものとして

上告人の控訴を棄却した部分は正当というべきであり、

この部分に関する論旨は理由がない。

 

そして、記録に照らすと、

上告人主張の前記被担保債権の存在については

当事者間に争いの存することが窺われるところ、

原審がこれについて判断をしていないことは前記のとおりであり、

したがつて、右破棄部分については、

右の点について判断を加えた上、前記の説示に沿つて

上告人の右請求の当否を判定すべく、

更に審理を尽くさせる必要があるから、

これを原審に差し戻すのが相当である。

 

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