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【判例】地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」 (平成3年12月20日最高裁)地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」

(平成3年12月20日最高裁)

事件番号  平成2(行ツ)137

 

最高裁判所の見解

法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」とは、

当該訴訟においてその適否が問題とされている

財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及び

これらの者から権限の委任を受けるなどして

右権限を有するに至った者を広く意味するものである

(最高裁昭和五五年(行ツ)第一五七号同六二年四月一〇日

第二小法廷判決民集四一巻三号二三九頁)。

地方公営企業の管理者は、地方公営企業の業務の執行に関し、

当該地方公共団体を代表する者であり、

種々の財務会計上の行為を行う権限を

法令上本来的に有するものとされている

(地方公営企業法八条、九条)ことからすると、

地方公営企業の業務の執行に関しては、

普通地方公共団体における長と同視すべき

地位にあるものとみるべきである(同法三四条参照)。

 

したがって、地方公営企業の管理者は、

訓令等の事務処理上の明確な定めにより、

その権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為を

あらかじめ特定の補助職員に専決させることとしている場合であっても、

地方公営企業法上、右財務会計上の行為を行う権限を

法令上本来的に有するものとされている以上、

右財務会計上の行為の適否が問題とされている

当該代位請求住民訴訟において、

法二四二条の二第一項四号にいう

「当該職員」に該当するものと解すべきである。

 

そして、右専決を任された補助職員が管理者の権限に属する

当該財務会計上の行為を専決により処理した場合は、

管理者は、右補助職員が財務会計上の

違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、

故意又は過失により右補助職員が財務会計上の違法行為を

することを阻止しなかったときに限り、

普通地方公共団体に対し、右補助職員がした

財務会計上の違法行為により当該普通地方公共団体が被った

損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である。

 

けだし、管理者が右訓令等により法令上

その権限に属する財務会計上の行為を特定の

補助職員に専決させることとしている場合においては、

当該財務会計上の行為を行う法令上の権限が

右補助職員に委譲されるものではないが、

内部的には、右権限は専ら右補助職員にゆだねられ、

右補助職員が常時自らの判断において

右行為を行うものとされるのであるから、

右補助職員が、専決を任された財務会計上の行為につき

違法な専決処理をし、これにより

当該普通地方公共団体に損害を与えたときには、

右損害は、自らの判断において右行為を行った

右補助職員がこれを賠償すべきものであって、

管理者は、前記のような右補助職員に対する

指揮監督上の帰責事由が認められない限り、

右補助職員が専決により行った財務会計上の違法行為につき、

損害賠償責任を負うべきいわれはないものというべきだからである。

 

四 そうすると、以上判示したところと異なる見解に立って、

上告人において、本件各支出につき、

右に述べた帰責事由が存することを確定することなく、

本件各支出につき専決をしたD総務課長に

帰責事由があるときは、同課長に専決処理を任せた上告人は、

同課長がした違法な本件各支出によって大阪府に与えた

損害を賠償する責任があるとした原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があるものといわざるを得ず、

その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

これと同旨をいう論旨は理由があり、

その余の点について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件については、上告人において、

本件各支出につき、右の帰責事由が存するか否かについて

更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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