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【判例】執行不能を条件とする代償請求が将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠くとされた事例 (昭和63年10月21日最高裁)執行不能を条件とする代償請求が将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠くとされた事例

(昭和63年10月21日最高裁)

事件番号  昭和60(オ)522

 

最高裁判所の見解

執行不能を条件とする代償請求は、

本来の給付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、

あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる(民訴法二二六条)

と解すべきところ、前記株式譲渡承認申請手続請求は、

意思表示をすべきことを求めるものであるから、

これを命ずる主文の強制執行は、

民事執行法第一七三条一項本文により判決の確定をもつて完了し、

前記指図による占有移転請求も、

意思表示をすべきことを求めるものであるが、

その意思表示が訴外会社の取締役会の承認という

被上告人らの証明すべき事実の到来に係る場合であるから、

これを命ずる判決主文の強制執行は同項ただし書により

被上告人らが右承認の事実を証明する文書を提出して

執行文の付与を受けたときに完了するものである。

 

しかも右訴外会社取締役会の承認を得られない場合は

代償請求の条件たる執行不能に該当しないから、

原審が認容すべきものとした代償請求は、

いずれも条件たる本来の給付請求の主文の

強制執行自体が不能となることはあり得ず

条件成就の可能性が存在しないことになるので、

あらかじめ請求する必要が認められず、

将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く

不適法なものであるといわざるを得ない。

 

したがつて、右訴えに係る請求を認容すべきものとした

原審の判断には訴訟要件に関する法令の解釈適用を誤つた結果、

将来の給付の訴えとして訴訟要件を欠く請求について

これを認めるべきとした違法があるといわざるを得ず、

右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであり、

原判決中右代償請求を認容した部分は破棄を免れず、

第一審判決中右請求に関する部分を取り消し、

右請求に係る訴えを却下すべきである。

 

なお、第一審判決主文第二項は

「右株式譲渡の承認があつたときは、被告は原告らに対し、

それぞれ右各株式数に相当する株券につき、

被告が訴外D株式会社に対して有する返還請求権を譲渡し、かつ、

同社に対して、以後右株券を原告らのために占有せよと通知せよ。」

とすべきところを誤記したことが、

その判決理由に照らし明らかであるから、

民訴法一九四条により職権をもつて右のとおり更正する。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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