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【判例】定期傭船者が船舶の衝突による損害賠償義務 (平成4年4月28日最高裁)定期傭船者が船舶の衝突による損害賠償義務

(平成4年4月28日最高裁)

事件番号  昭和63(オ)1737

 

最高裁判所の見解

本件事故は、航行区域を沿海区域とする汽船である第五神山丸が、

航行区域を平水区域とするいわゆる内水船である第三泉丸を曳き、

その後に無機力運貨船(バージ)を曳いて、

神戸港の東神戸航路の沖合から同航路に進入した際、

第五神山丸及び第三泉丸の船長の過失により、

無機力運貨船が、海上自衛隊阪神基地隊東岸壁に

係留されていた被上告人所有の掃海艇に衝突し、

これを損傷させたという態様のものであることは、

原審の適法に確定したところである。

 

この事実関係の下においては、第三泉丸が内水船であっても、

第五神山丸、第三泉丸及び無機力運貨船全体に

商法第四編の関係規定の適用があるとした原審の判断は、

正当として是認することができる。

 

さらに、原審の確定した事実によれば、

第五神山丸及び第三泉丸の船舶所有者と上告人との間に、

「定期傭船契約書」と題する契約書が

取り交わされていたというのであって、本件事故につき、

被上告人は、右契約による上告人の法的地位に基づいて

上告人に対し損害賠償の請求をしている。

 

ところで、定期傭船者の衝突責任などの権利義務の範囲については、

商法を始めとする海商法の分野での成文法には

依拠すべき明文の規定がないので、

専ら当該契約の約定及び契約関係の実体的側面に即して

検討されなければならないところ、

前記の各契約書はそれぞれ本文一枚の極めて簡略なものであって、

そこには、「船舶の使用に関する一切の命令指示等の権限は上告人に属する。」、

「傭船料は一か月五〇万円(第五神山丸分)、五二万円(第三泉丸分)とし、

上告人は、航海数に応じ、船長らに対し繁忙手当を支給する。」、

「本契約の有効期間は向こう一年とし、

契約当事者から解約の申出がない場合は、自動的に更新される。」

などの約定の記載があるにとどまっている。

 

次いで、その契約関係の実体についてみるのに、

原審の確定したところによると、

右約定に係る定額の傭船料は実際には支払われたことがなく、

対価はすべて運航時間に応じて算出されており、

燃料費は船舶所有者において負担し、

上告人には船長の任免権があるともいえず、また、

上告人が各船舶を直接自己の占有下に置いてはいなかった、

というのである。

 

しかしながら他方、各船舶は、専属的に上告人営業の運送に従事し、

その煙突には、上告人のマークが表示されており、

その運航については、上告人が日常的に

具体的な指示命令を発していたのであって、

上告人としては、各船舶を上告人の企業組織の一部として、

右契約の期間中日常的に指揮監督しながら、

継続的かつ排他的、独占的に使用して、

上告人の事業に従事させていたというのも、

また原審の確定した事実である。原審は、

これらの事実関係の下において、上告人は、

船舶所有者と同様の企業主体としての

経済的実体を有していたものであるから、

右各船舶の航行の過失によって被上告人所有の

掃海艇に与えた損害について、

商法七〇四条一項の類推適用により、

同法六九〇条による船舶所有者と同一の

損害賠償義務を負担すべきであるとしたが、

この判断は、正当として是認することができる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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