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【判例】弁護士の委任契約上の義務(平成25年4月16日最高裁)弁護士の委任契約上の義務

(平成25年4月16日最高裁)

事件番号  平成24(受)651

 

この裁判は、

債務整理に係る法律事務を受任した弁護士が,

特定の債権者の債権につき消滅時効の完成を待つ方針を採る場合において,

上記方針に伴う不利益等や他の選択肢を説明すべき

委任契約上の義務を負うとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件において被上告人が採った時効待ち方針は,

DがAに対して何らの措置も採らないことを

一方的に期待して残債権の消滅時効の完成を待つというものであり,

債務整理の最終的な解決が遅延するという不利益があるばかりか,

当時の状況に鑑みてDがAに対する残債権の回収を断念し,

消滅時効が完成することを期待し得る

合理的な根拠があったことはうかがえないのであるから,

Dから提訴される可能性を残し,

一旦提訴されると法定利率を超える高い利率による

遅延損害金も含めた敗訴判決を受ける公算が

高いというリスクをも伴うものであった。

 

また,被上告人は,Aに対し,Dに対する未払分として

29万7840円が残ったと通知していたところ,

回収した過払金から被上告人の報酬等を控除しても

なお48万円を超える残金があったのであるから,

これを用いてDに対する残債務を弁済するという

一般的に採られている債務整理の方法によって

最終的な解決を図ることも現実的な

選択肢として十分に考えられたといえる。

 

このような事情の下においては,

債務整理に係る法律事務を受任した

被上告人は,委任契約に基づく善管注意義務の一環として,

時効待ち方針を採るのであれば,Aに対し,

時効待ち方針に伴う上記の不利益やリスクを説明するとともに,

回収した過払金をもってDに対する債務を弁済するという

選択肢があることも説明すべき義務を負っていたというべきである。

 

しかるに,被上告人は,平成18年7月31日頃,Aに対し,

裁判所やDから連絡があった場合には被上告人に伝えてくれれば対処すること,

Dとの交渉に際して必要になるかもしれないので

返還する預り金は保管しておいた方が良いことなどは

説明しているものの,時効待ち方針を採ることによる上記の不利益や

リスクをAに理解させるに足りる説明をしたとは認め難く,また,

Dに対する債務を弁済するという選択肢について説明したことは

うかがわれないのであるから,

上記の説明義務を尽くしたということはできない

 

そうである以上,仮に,

Aが時効待ち方針を承諾していたとしても,

それによって説明義務違反の責任を免れるものではない。

 

5 以上によれば,原審の上記判断には,

判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反がある。

 

論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。

そこで,損害の点等について更に審理を尽くさせるため,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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