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【判例】抵当不動産の共有持分の第三取得者による滌除の可否 (平成9年6月5日最高裁)抵当不動産の共有持分の第三取得者による滌除の可否

(平成9年6月5日最高裁)

事件番号  平成5(オ)1713

 

最高裁判所の見解

一個の不動産の全体を目的とする抵当権が設定されている場合において、

右抵当不動産の共有持分を取得した第三者が

抵当権の滌除をすることは、許されないものと解するのが相当である。

 

けだし、滌除は、抵当権者に対して抵当不動産の適正な

交換価値に相当する金員の取得を確保させつつ、

抵当不動産の第三取得者に対して抵当権を

消滅させる権能を与えることにより、

両者の利害の調和を図ろうとする制度であると解されるところ、

右の場合に共有持分の第三取得者による滌除が許されるとすれば、

抵当権者が一個の不動産の全体について一体として

把握している交換価値が分断され、

分断された交換価値を合算しても一体として

把握された交換価値には及ばず、抵当権者を害するのが通常であって、

滌除制度の趣旨に反する結果をもたらすからである。

 

これを本件についてみるに、被上告人の本訴請求は、

被上告人が取得した本件建物の共有持分について

滌除をしたことによって上告人を根抵当権者とする

本件根抵当権が消滅したとして、上告人に対し、

本件根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めるものであるところ、

原審の適法に確定した事実によると、

(1) 本件建物は、D、Eほか二名の共有であった、

(2) 被上告人は、本件建物のD及びEの各持分の

第三取得者となったものであるが、その当時、既に、

F信用金庫を根抵当権者とし本件建物全体を目的とする

根抵当権及び株式会社Gプロダクツ(以下「Gプロダクツ」という。)を

根抵当権者とし本件建物のDの持分を目的とする本件根抵当権等が設定され、

その旨の登記がされていた、

(3) 被上告人は、右取得した持分について

右各根抵当権の滌除をすることとし、

民法三八三条所定の書面をF信用金庫及び

Gプロダクツに送達した、

(4) その後、上告人がGプロダクツから本件根抵当権を譲り受け、

その旨の附記登記をした、というのであり、

右によれば、F信用金庫を根抵当権者とする右根抵当権は、

本件建物全体を目的とするものであるから、

本件滌除は許されないというべきである。

 

そうすると、本件滌除が有効であることを前提として

本件根抵当権設定登記の抹消登記手続等を求める

被上告人の本訴請求は、理由がないというほかない。

 

以上と異なる見解に立ち、共有持分権者による持分についての

滌除権の行使が一律に許されないとする合理的な根拠は見いだし難く、

本件滌除権の行使が権利の濫用である旨の主張立証もないなどとした上、

被上告人による本件滌除を有効であるとして

本訴請求を認容すべきものとした原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであり、

この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、前記説示によれば、被上告人の本訴請求は理由がないので、

原判決を破棄し、第一審判決を取り消して、

被上告人の請求を棄却することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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