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【判例】抵当権の設定された不動産にされた譲渡担保契約等の詐害行為に当たる場合に抵当権設定登記が抹消された時の原状回復の方法 (昭和63年7月19日最高裁)抵当権の設定された不動産にされた譲渡担保契約等の詐害行為に当たる場合に抵当権設定登記が抹消された時の原状回復の方法

(昭和63年7月19日最高裁)

事件番号  昭和61(オ)495

 

最高裁判所の見解

抵当権の設定されている不動産について、

当該抵当権者以外の者との間にされた代物弁済予約及び

譲渡担保契約が詐害行為に該当する場合において、

右不動産が不可分のものであつて、当該詐害行為の後に

弁済等によつて右抵当権設定登記等が抹消されたようなときは、

その取消は、右不動産の価額から右抵当権の

被担保債権額を控除した残額の限度で

価格による賠償を請求する方法によるべきである。

 

けだし、詐害行為取消権は、債権者の共同担保を保全するため、

詐害行為により逸出した財産を取り戻して債務者の

一般財産を原状に回復させようとするものであるから、

その取消は、本来、債務者の詐害行為により

減少された財産の範囲にとどまるべきものであり、

その方法は、逸出した財産自体の回復が可能である場合には、

できるだけこれによるべきであるところ、

詐害行為の目的不動産に抵当権が付着している場合には、

その取消は、目的不動産の価額から右抵当権の被担保債権額を控除した

残額の部分に限つて許されるが、右の場合において、

その目的不動産が不可分のものであつて、

付着していた抵当権の設定登記等が抹消されたようなときには、

逸出した財産自体を原状のままに回復することが不可能若しくは

著しく困難であり、また、債務者及び債権者に

不当に利益を与える結果になるから、このようなときには、

逸出した財産自体の返還に代えて

その価格による賠償を認めるほかないのである

(最高裁昭和三〇年(オ)第二六〇号同三六年七月一九日大法廷判決・

民集一五巻七号一八七五頁、同五三年(オ)第八〇九号

同五四年一月二五日第一小法廷判決・民集三三巻一号一二頁参照)。

 

そうすると、前記事実関係のもとにおいては、

詐害行為として取消されるべき本件代物弁済予約及び

譲渡担保契約の目的不動産に右詐害行為当時根抵当権が付着し、

その後、その設定登記等が抹消されているのであるから、

価格賠償によるほかないのに、これと異なる見解に立つて、

本件土地建物の各価額、前示根抵当権の

被担保債権額等取消の範囲につき十分な審理を遂げることなく、

本件代物弁済予約及び譲渡担保契約の全部の取消を認め、

上告人に対し右土地建物の所有権移転請求権仮登記及び

所有権移転登記の抹消登記手続を命じた原判決には、

民法四二四条の解釈を誤つた違法があるものというべきであり、

この違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、

論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。

 

そして、本件については、

前示根抵当権の被担保債権額等につき

更に審理を尽くさせる必要があるから、

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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