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【判例】控訴の追完が認められた事例 (平成4年4月28日最高裁)控訴の追完が認められた事例

(平成4年4月28日最高裁)

事件番号  平成2(オ)1228

 

最高裁判所の見解

被告について送達をすべき場所が不明であるとして

原告から公示送達の申立てがされ、

一審判決正本の送達に至るまでのすべての書類の送達が

公示送達によって行われた場合において、

被告が、控訴期間の経過後に控訴を申し立てるとともに

その追完を主張したときは、控訴期間を

遵守することができなかったことについて

民訴法一五九条にいう「其ノ責ニ帰スヘカラサル事由」

の存否を判断するに当たり、

被告側の事情だけではなく、公示送達手続によらざるを

得なかったことについての原告側の事情をも

総合的に考慮すべきであると解するのが相当である。

 

これを本件についてみるのに、前記事実関係によると、

被上告人やその代理人は、本訴提起の直前である

平成元年三月に至るまで上告人と本件について

継続的に和解の交渉をしており、

被上告人側の譲歩を内容とする和解成立も予想できる状況にありながら、

しかも、上告人が同年八、九月ころまで

外国に行くとの連絡を受けていたにもかかわらず、

その海外渡航による不在期間中に当たる

同年四月二五日本訴を提起し、上告人が

その住民登録をしたE荘に居住していないことを承知しながら、

その旨を確認した上、その転居先不明として、

同年七月三日裁判所から公示送達の許可を受け

(記録によれば、本訴の提起を急がなければならない事情は

見当たらないし、被上告人は、上告人が同年八、九月まで

外国に行き、その後中野区内の叔母方に住民票の

住所を移す予定である旨記載された前記書面を

手中にしながらこれを裁判所に提出せず、

それまでの交渉経緯等の一切の事情を伏せたまま

手続を進めたことがうかがわれる。)、

上告人不出頭のまま勝訴判決を得たのであり、

上告人としても、同年八、九月までは

本邦に不在であることを被上告人の代理人に連絡した以上、

このような経緯で本訴が提起されることは

予測し得なかったものというべきであり、

被上告人の側には、公示送達制度を悪用したとの

非難を免れない事情があるといわなければならない。

 

そして、これらの事情をも総合考慮すると、

上告人が被上告人の粗暴な言動を恐れて

住民登録の変更をせず、その居住場所、

連絡先を被上告人に知らせなかったとの事情があったとしても、

上告人は、その責めに帰すべからざる事由により

控訴期間を遵守することができなかったものというべきである。

 

五 そうすると、これと異なる判断の下に

本件控訴を不適法であるとして却下した原審の判断には、

民訴法一五九条一項の解釈適用を

誤った違法があるといわなければならない。

 

したがって、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れず、

本案について更に審理を尽くさせるのが相当であるから、

これを原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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