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【判例】有責配偶者からの離婚請求において別居期間が相当の長期間に及んだものとされた事例 (平成2年11月8日最高裁)有責配偶者からの離婚請求において別居期間が相当の長期間に及んだものとされた事例

(平成2年11月8日最高裁)

事件番号  平成1(オ)1039

 

最高裁判所の見解

すなわち、有責配偶者からの民法七七〇条一項五号所定の事由による

離婚請求の許否を判断する場合には、

夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において

相当の長期間に及んだかどうかをも斟酌すべきものであるが、

その趣旨は、別居後の時の経過とともに、

当事者双方についての諸事情が変容し、

これらのもつ社会的意味ないし社会的評価も

変化することを免れないことから、

右離婚請求が信義誠実の原則に照らして

許されるものであるかどうかを判断するに当たっては、

時の経過がこれらの諸事情に与える影響も

考慮すべきであるとすることにある

(最高裁昭和六一年(オ)第二六〇号同六二年九月二日大法廷判決・

民集四一巻六号一四二三頁参照)。

 

したがって、別居期間が相当の長期間に

及んだかどうかを判断するに当たっては、

別居期間と両当事者の年齢及び同居期間とを

数量的に対比するのみでは足りず、

右の点をも考慮に入れるべきものであると解するのが相当である。

 

ところで、前記事実関係によれば、

上告人と被上告人との別居期間は約八年ではあるが、

上告人は、別居後においても被上告人及び子らに対する生活費の負担をし、

別居後間もなく不貞の相手方との関係を解消し、

更に、離婚を請求するについては、

被上告人に対して財産関係の清算についての

具体的で相応の誠意があると認められる提案をしており、

他方、被上告人は、上告人との

婚姻関係の継続を希望しているとしながら、

別居から五年余を経たころに

上告人名義の不動産に処分禁止の仮処分を執行するに至っており、また、

成年に達した子らも離婚については婚姻当事者たる

被上告人の意思に任せる意向であるというのである。

 

そうすると、本件においては、

他に格別の事情の認められない限り、別居期間の経過に伴い、

当事者双方についての諸事情が変容し、

これらのもつ社会的意味ないし社会的評価も変化したことが

窺われるのである

(当審判例(最高裁昭和六二年(オ)第八三九号平成元年三月二八日第三小法廷判決・

裁判集民事一五六号四一七頁)は事案を異にし、本件に適切でない。)。

 

以上によれば、右の点について十分な審理を尽くすことなく

上告人の離婚請求を棄却した原判決は、

民法一条二項、同法七七〇条一項五号の解釈適用を誤り、

ひいては審理不尽、理由不備の違法を犯したものといわざるを得ず、

右違法が原判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、

この違法をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件については、更に審理を尽くさせるため、

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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