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【判例】民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」(平成26年6月5日最高裁)民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」

(平成26年6月5日最高裁)

事件番号  平成24(受)908

 

この裁判は、

再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した

投資信託受益権に係る再生債権者の

再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,

民事再生法93条2項2号にいう

「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,

上記支払債務に係る債権を受働債権とする

相殺が許されないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

民事再生法は,再生債権についての債権者間の公平・平等な扱いを

基本原則とする再生手続の趣旨が没却されることのないよう,

93条1項3号本文において再生債権者において

支払の停止があったことを知って再生債務者に対して

債務を負担した場合にこれを受働債権とする相殺を禁止する一方,

同条2項2号において上記債務の負担が

「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より

前に生じた原因」に基づく場合には,

相殺の担保的機能に対する再生債権者の期待は合理的なものであって,

これを保護することとしても,

上記再生手続の趣旨に反するものではないことから,

相殺を禁止しないこととしているものと解される。

 

前記事実関係によれば,本件債務は,上告人の支払の停止の前に,

上告人が被上告銀行から本件受益権を購入し,

本件管理委託契約に基づきその管理を被上告銀行に委託したことにより,

被上告銀行が解約金の交付を受けることを条件として上告人に対して

負担した債務であると解されるが(最高裁平成17年(受)第1461号

同18年12月14日第一小法廷判決・民集60巻10号3914頁参照),

少なくとも解約実行請求がされるまでは,

上告人が有していたのは投資信託委託会社に対する本件受益権であって,

これに対しては全ての再生債権者が等しく上告人の

責任財産としての期待を有しているといえる。

 

上告人は,本件受益権につき解約実行請求がされたことにより,

被上告銀行に対する本件解約金の支払請求権を取得したものではあるが,

同請求権は本件受益権と実質的には

同等の価値を有するものとみることができる。

 

その上,上記解約実行請求は被上告銀行が

上告人の支払の停止を知った後にされたものであるから,

被上告銀行において同請求権を受働債権とする

相殺に対する期待があったとしても,

それが合理的なものであるとはいい難い。

 

また,上告人は,本件管理委託契約に基づき

被上告銀行が本件受益権を管理している間も,

本件受益権につき,原則として自由に

他の振替先口座への振替をすることができたのである。

 

このような振替がされた場合には,被上告銀行が上告人に対して

解約金の支払債務を負担することは生じ得ないのであるから,

被上告銀行が上告人に対して本件債務を負担することが

確実であったということもできない。

 

さらに,前記事実関係によれば,本件においては,

被上告銀行が上告人に対して負担することとなる

本件受益権に係る解約金の支払債務を

受働債権とする相殺をするためには,

他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき,

上告人に代位して本件受益権につき解約実行請求を

行うほかなかったことがうかがわれる。

 

そうすると,被上告銀行が本件債務をもってする

相殺の担保的機能に対して合理的な期待を有していたとはいえず,

この相殺を許すことは再生債権についての債権者間の

公平・平等な扱いを基本原則とする

再生手続の趣旨に反するものというべきである。

 

したがって,本件債務の負担は,民事再生法93条2項2号にいう

「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」

に基づく場合に当たるとはいえず,

本件相殺は許されないと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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