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【判例】民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条 (平成9年1月20日最高裁)民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条

(平成9年1月20日最高裁)

事件番号  平成6(オ)2122

 

最高裁判所の見解

1 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての

配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合においては、

配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に

被担保債権額に応じて案分した上、

右案分額を民法四八九条ないし四九一条の規定に従って

各債務者に対する被担保債権に充当すべきである。

 

けだし、債務者複数の根抵当権は、各債務者に対する債権を

担保するための部分から成るものであるが、

右各部分は同順位にあると解されるから、

配当金を各債務者についての被担保債権額に応じて

右各部分に案分するべきであり、債権者の選択により

右各部分への案分額が決められるものと解する余地はなく、また、

同一の債務者に対する被担保債権相互間においては、

法定充当の規定により右案分額を充当することが

合理的であるからである。

 

原審の判断のうち以上と同趣旨をいう部分は、

正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

 

2 右1における案分の基礎となる各債務者についての

被担保債権額を算出する場合には、ある債務者に対する

債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという

関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、

いずれの債権もその全額を各債務者についての

被担保債権額に算入するべきであって、

右算入額の合計額が根抵当権者が弁済を

受けることができる額を超えてはならないものではない。

 

けだし、根抵当権者が右のような関係にある複数の債権を有し、

そのいずれについても根抵当権を有するという地位は、

右1の案分をするに当たっても考慮されるべきである上、

右のような複数の被担保債権の相互関係は、

本件のような主たる債務者に対する債権と

その連帯保証債権に限られるものではなく、

同一の約束手形の複数の裏書人に対する

手形金債権である場合や約束手形の振出人に対する

手形金債権と右手形の割引依頼人に対する

手形買戻請求権である場合など多種多様な場合があり得るところ、

根抵当権者が弁済を受けることができる額を超えて

被担保債権が算入されることがないような

基準をあらゆる場合について策定することは

事実上困難であって、いずれの債権も

その全額を算入する扱いが簡明であり、

問題の性質上合理的であるといえるからである。

 

これを本件について見るに、原審の適法に確定したところによれば、

上告人A1を借主とする貸金債権である貸金5及び6

(一億〇一二〇万六八八八円)のほか、

訴外会社を借主とする貸金債権である貸金1ないし4についての

同上告人に対する連帯保証債権(六三二〇万一三三二円)も

二番根抵当権のうち債務者を同上告人とする部分によって

担保されているものというべきであるから、

同上告人に対する被担保債権額に

右連帯保証債権の額を算入しなかった原審の判断には

法令の解釈適用を誤った違法がある。

 

3 以上の説示に従い二番根抵当権に対する配当による

被担保債権の消滅について検討するに、

訴外会社に対する被担保債権の額は貸金1ないし4の

合計額六三二〇万一三三二円であり、

上告人A1に対する被担保債権の額は貸金1ないし6の

合計額一億六四四〇万八二二〇円であるから、

配当金一億一六七七万七二二八円を各債権額に応じて案分すると、

債務者を訴外会社とする部分への案分額は三二四二万六〇四〇円となり、

債務者を同上告人とする部分への案分額は八四三五万一一八八円となる。

 

債務者を訴外会社とする部分への案分額三二四二万六〇四〇円は、

弁済期が同時に到来した貸金1ないし4

(元本合計六三二〇万一三三二円)について各債権額に

応じて充当され、充当後の債権額は、

貸金1ないし4の元本三〇七七万五二九二円となる。

 

債務者を上告人A1とする部分への

案分額八四三五万一一八八円は、法定充当の規定に定めるところと

異なる充当をするべき事由につき何らの主張、

立証のない本件においては、まず貸金5及び6の利息、損害金の

全額(一六三三万七三二六円)に充当され、

次いで同上告人にとって弁済の利益が多い

貸金5及び6のうち先に弁済期の到来した

貸金5の元本の全額(一五六〇万円)に充当され、

更に貸金6の元本六九二六万九五六二円のうち

五二四一万三八六二円に充当される。

 

以上の充当後の債権は、貸金6の元本一六八五万五七〇〇円及び

貸金1ないし4についての連帯保証債権となる。

 

そうすると、被上告人の上告人らに

対する請求(貸金5及び6についての請求)は

上告人らにつき一六八五万五六九二円(八円は免除)及びこれに対する

平成五年二月九日以後の約定の損害金を、

上告人A1に対する予備的請求(貸金1ないし4についての請求)は

三〇七七万五二九二円及びこれに対する同日以後の約定の損害金を、

それぞれ認容すべきである。

 

以上によれば、原判決の違法が

判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、

論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、

原判決は破棄を免れず、右説示に従い原判決を

主文のとおり変更すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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