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【判例】民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」 (平成17年11月10日最高裁)民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」

(平成17年11月10日最高裁)

事件番号  平成17(行フ)2

 

この裁判は、

仙台市議会の議員が所属会派に交付された

政務調査費によって費用を支弁して行った

調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した

調査研究報告書及びその添付書類が

民訴法220条4号ニ所定の

「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」

に当たるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 地方自治法100条は,政務調査費の交付につき,

普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,

その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,

その議会における会派又は議員に対し,

政務調査費を交付することができ,この場合において,

当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,

条例で定めなければならないと規定した上(13項),

「政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,

条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の

報告書を議長に提出するものとする」こと(14項)を規定している。

 

これらの規定による政務調査費の制度は,

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により,

地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,

その議会の担う役割がますます重要なものとなってきていることにかんがみ,

議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,

議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,

併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである。

 

(2)ア 本件要綱の定めによれば,調査研究報告書は,

政務調査費によって費用を支弁して行った調査研究に関して,

議員がその所属する会派に対する報告のため,

調査研究の内容及び経費の内訳を記載して作成し,

当該会派に提出するものである。

 

そして,本件条例及びその委任を受けた本件要綱の定めは,

調査研究報告書をもって,調査研究を行った議員から

所属会派の代表者に提出すべきものとするにとどめ,

これを議長に提出させたり,

市長に送付したりすることは予定していない。

 

この趣旨は,議会において独立性を有する団体として

自主的に活動すべき会派の性質及び役割を前提として,

調査研究報告書の各会派内部における活用と

政務調査費の適正な使用についての各会派の自律とを促すとともに,

調査研究報告書には会派及び議員の活動の根幹にかかわる

調査研究の内容が記載されるものであることに照らし,

議員の調査研究に対する執行機関等からの干渉を

防止するというところにあるものと解される。

 

イ このような本件条例及び

本件要綱の定め並びにそれらの趣旨からすると,

調査研究報告書は,専ら,その提出を受けた各会派の内部にとどめて

利用すべき文書とされているものというべきである。

 

他方,政務調査費の交付を受けた会派が

議長に提出すべきものとされている

収支状況報告書及び執行状況報告書については,

使途の適正及び透明性の確保のために

議長の検査等が予定されている。

 

この点において,両者は,

その性質,作成目的等を異にするものである。

なお,前記のとおり,本件要綱上,議長は

収支状況報告書の内容を検査するに当たり必要がある場合は

会派の代表者に対して証拠書類等の

資料の提示を求めることができるとされている。

 

この証拠書類等の資料に調査研究報告書が

当たる場合があり得るとしても,

それは,例外的に,議長の求めに従い,

議長に対してのみ提示されるにすぎないから,

先に説示した調査研究報告書の性質,

作成目的等を左右するものではない。

 

ウ また,調査研究報告書が開示された場合には,

所持者である会派及びそれに所属する議員の調査研究が

執行機関,他の会派等の干渉等によって

阻害されるおそれがあるものというべきである。

 

加えて,調査研究に協力するなどした

第三者の氏名,意見等が調査研究報告書に記載されている場合には,

これが開示されると,調査研究への協力が得られにくくなって

以後の調査研究に支障が生ずるばかりか,

その第三者のプライバシーが侵害されるなどのおそれもあるものというべきである。

 

(3) 本件各文書は,本件要綱に基づいて作成され,

各会派に提出された調査研究報告書及び

その添付書類であるというのであるから,

専ら,所持者である相手方ら各自の内部の者の利用に供する目的で作成され,

外部の者に開示することが予定されていない文書であると認められる。

 

また,本件各文書が開示された場合には,

所持者である相手方ら及びそれに所属する議員の調査研究が

執行機関,他の会派等の干渉等によって

阻害されるおそれがあるものというべきである。

 

加えて,前記のとおり,

本件各文書には調査研究に協力するなどした

第三者の氏名,意見等が記載されている蓋然性があるというのであるから,

これが開示されると,調査研究への協力が得られにくくなって

以後の調査研究に支障が生ずるばかりか,

その第三者のプライバシーが侵害されるなどの

おそれもあるものというべきである。

 

そうすると,本件各文書の開示によって相手方ら

各自の側に看過し難い不利益が

生ずるおそれがあると認められる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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