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【判例】法定地上権の成否 (平成2年1月22日最高裁)法定地上権の成否

(平成2年1月22日最高裁)

事件番号  昭和62(オ)452

 

最高裁判所の見解

すなわち、土地について一番抵当権が設定された当時土地と

地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が

充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が

所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、

その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより

一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための

法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。

 

けだし、民法三八八条は、同一人の所有に属する土地及び

その地上建物のいずれか又は双方に設定された抵当権が実行され、

土地と建物の所有者を異にするに至った場合、

土地について建物のための用益権がないことにより

建物の維持存続が不可能となることによる

社会経済上の損失を防止するため、地上建物のために

地上権が設定されたものとみなすことにより

地上建物の存続を図ろうとするものであるが、

土地について一番抵当権が設定された

当時土地と地上建物の所有者が異なり、

法定地上権成立の要件が充足されていない場合には、

一番抵当権者は、法定地上権の負担のないものとして、

土地の担保価値を把握するのであるから、

後に土地と地上建物が同一人に帰属し、

後順位抵当権が設定されたことによって

法定地上権が成立するものとすると、

一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることになるからである。

 

なお、原判決引用の判例(大審院昭和一三年(オ)第二一八七号

同一四年七月二六日判決・民集一八巻七七二頁、

最高裁昭和五三年(オ)第五三三号同年九月二九日第二小法廷判決・

民集三二巻六号一二一〇頁)は、いずれも建物について

設定された抵当権が実行された場合に、

建物競落人が法定地上権を取得することを認めたものであり、

建物についてはこのように解したとしても

一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることにはならないから、

土地の場合をこれと同視することはできない。

 

これを本件についてみると、本件根抵当権設定当時においては、

本件土地と旧建物は所有者を異にしていたのであるから、

いずれにしても本件土地の抵当権の実行により

上告人が競落した本件土地について法定地上権は

成立しないものというべきである。

 

したがって、本件土地に法定地上権が成立するとした原判決には、

民法三八八条の解釈適用を誤った違法があり、

被上告人らにおいて他に上告人に対抗し得る

土地の用益権の主張立証をしていない本件において、

この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、

この点に関する論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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