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【判例】消滅時効中断の効力 (平成8年3月28日最高裁)消滅時効中断の効力

(平成8年3月28日最高裁)

事件番号  平成4(オ)2107

 

最高裁判所の見解

1(一) 担保権の実行としての競売は、被担保債権についての

強力な権利実行手段であり、担保権者が

自ら競売を申し立てた場合には、競売開始決定が債務者に送達され、

その権利主張が債務者に到達することが予定されているから、

被担保債権について消滅時効中断の効力を生ずるものと解される。

 

(二) しかしながら、第三者の申立てに係る競売手続において

債権届出の催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、

執行裁判所に対して不動産の権利関係又は

売却の可否に関する資料を提供することを目的とするものであって、

届出に係る債権の確定を求めるものではなく、

登記を経た抵当権者は、債権の届出をしない場合にも、

右の競売手続において配当を受けるべき債権者として処遇され、

不動産の売却代金から配当を受けることができるものであり、また、

債権の届出については、債務者に対して

その旨を通知をすることも予定されていないことなどに照らせば、

債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、

破産手続参加又はこれらに準ずる

消滅時効の中断事由に該当するものとはいえない

(最高裁平成元年(オ)第六五三号同年一〇月一三日第二小法廷判決・

民集四三巻九号九八五頁参照)。

 

(三) 執行裁判所による配当表の作成及び

これに基づく配当の実施の手続においても、

右の届出に係る債権の存否及び

その額の確定のための手続は予定されておらず、

抵当権者が届出に係る債権の一部について配当を受けたとしても、

そのことにより、右債権の全部の存在が

確定するものでも公に認められるものでもない。

 

(四) また、配当期日には債務者を呼び出さなければならないが、

右呼出しは執行裁判所が債務者に配当異議の

申出をする機会を与えるためのものにすぎないから、

これをもって抵当権者が債務者に向けて権利を主張して

債務の履行を求めたものということはできない。

 

(五) そうすると、登記を経た抵当権者が、

第三者の申立てに係る不動産に対する担保権の実行としての

競売手続において、債権の届出をし、

その届出に係る債権の一部に対する配当を受けたとしても、

右配当を受けたことは、右債権の残部について、

差押えその他の消滅時効の中断事由に該当せず、また、

これに準ずる消滅時効中断の効力を有するものではないと

解するのが相当である。

 

2 これを本件についてみるに、前記一の事実関係によれば、

被上告人は、本件競売手続において、

本件各求償権を表示して本件各貸金債権の届出をし、

本件貸金債権(二)の一部に対する本件配当を

受けたにとどまるものであるから、

右債権の届出をして本件配当を受けたことによっては、

本件各貸金債権及び本件各求償権について、

消滅時効中断の効力が生ずることはないというべきである。

 

まして、本件においては、被上告人が債権の届出をし、かつ、

配当を受けたのは、いずれも消滅時効期間経過後であり、

時効中断の問題の生ずる余地は全くない。

 

3 これと異なる見解に立って、

本件配当を受けたことにより本件各貸金債権及び

本件各求償権について消滅時効中断の効力が生じたものとした

原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この趣旨をいう論旨は理由があり、

その余の上告理由について判断するまでもなく、

原判決中、本件各請求に係る部分(五九四万八五二六円及びうち

五八三万九九〇四円に対する昭和五七年九月二三日から

支払済みまで年一四・六パーセントの割合による金員を超えて

被上告人の本件各請求を認容した部分)は破棄を免れない。

 

そして、前記一の事実関係によれば、

本件各求償権はいずれも時効により消滅しており、

被上告人の本件各請求は理由のないことが明らかである。

 

したがって、右に説示したところと結論を同じくする

第一審判決は正当であって、本件各請求に関する

被上告人の控訴は理由がなく、これを棄却すべきものである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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