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【判例】破産法72条2号による否認 (平成2年7月19日最高裁)破産法72条2号による否認

(平成2年7月19日最高裁)

事件番号  昭和63(オ)1457

 

最高裁判所の見解

D組合の組合員(組合員であった者を含む。以下同じ。)の

給与支給機関が、報酬その他の給与

(国家公務員退職手当法(昭和二八年法律第一八二号)に基づく

退職手当又はこれに相当する手当を含む。)を

支給する際、国公共済法一〇一条二項に基づき、

組合員の報酬その他の給与からその未返済の

貸付金の金額に相当する金額を控除して、

これを組合員に代わって組合に払い込む行為は、

その組合員が破産宣告を受けた場合、

破産法七二条二号の否認の対象となると解するのが相当である。

 

けだし、国公共済法一〇一条二項の規定は、

組合員から貸付金等を確実に回収し、

もって組合の財源を確保する目的で設けられたものであり、

給与の直接払の原則及び全額払の原則

(一般職の職員の給与に関する法律九条本文、

人事院規則九―七第一条の二参照)との関係を考慮して、

右の払込方法を法定したものと解されるが、

右払込が他の債権に対して優先する旨の規定を欠くこと及び

国公共済法一〇一条二項が給与支給機関は

「組合員に代わって」組合に払い込まなければならないと

規定していることに照らしてみれば、

同条項は、給与支給機関が組合に対する組合員の

債務の弁済を代行することを規定したものにほかならず、

組合において、破産手続上、他の一般破産債権に優先して

組合員に対する貸付金債権の弁済を受け得ることを

規定したものと解することができないからである。

 

本件払込が右法規の規定の効力に

よってされるものであることも、

右解釈を妨げるものではない。

 

また、退職者に対し退職手当が支払われたことにより、

退職手当請求債権は消滅し、

既に支払われた金員について、

債権に対する差押禁止を規定する

民事執行法一五二条二項の適用はないから、

その後右退職者が破産宣告を受けたときは、

右退職手当相当の金員は破産財団を構成するというべきであり、

破産者が右退職手当をもって特定の債権者に対し

債務を弁済した後破産宣告を受けた場合に、

その金額が退職手当の四分の三の範囲内であっても、

その弁済は破産法七二条二号の

否認の対象となり得るものと解するのが相当である。

 

したがって、以上と異なる見解に立って、

国の被上告人に対する本件払込を破産法七二条二号による

否認の対象とならないとした原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法が判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この点の違法をいう論旨は理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

そこで、更に本件払込当時、被上告人が

Eの支払停止や自己破産の申立の事実を

知っていたか否かについて審理を尽くさせるため、

本件を原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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