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【判例】神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件(平成25年3月21日最高裁)神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件

(平成25年3月21日最高裁)

事件番号  平成22(行ヒ)242

 

 

この裁判では、

資本金等が一定額以上の法人の事業活動に対し

臨時特例企業税を課すことを定める神奈川県臨時特例企業税条例

(平成13年神奈川県条例第37号)の規定と

地方税法72条の23第1項本文(平成15年法律第9号による

改正前は72条の14第1項本文)について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(3)ア 法人税法の規定する欠損金の繰越控除は,

所得の金額の計算が人為的に設けられた期間である

事業年度を区切りとして行われるため,

複数の事業年度の通算では同額の所得の金額が

発生している法人の間であっても,ある事業年度には所得の金額が発生し

別の事業年度には欠損金額が発生した法人は,

各事業年度に平均的に所得の金額が発生した法人よりも

税負担が過重となる場合が生ずることから,

各事業年度間の所得の金額と欠損金額を平準化することによって

その緩和を図り,事業年度ごとの所得の金額の変動の

大小にかかわらず法人の税負担をできるだけ均等化して

公平な課税を行うという趣旨,目的から設けられた制度であると解される

(最高裁昭和39年(行ツ)第32号同43年5月2日

第一小法廷判決・民集22巻5号1067頁参照)。

 

イ 前記2(1)のとおり,平成15年法改正前においては,

法人事業税の課税標準は原則として各事業年度の

所得によるものとされ(改正前地方税法72条の12),

その所得の計算につき,同法又はこれに基づく政令で

特別の定めをする場合を除くほか,

当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例によって

算定するものとされており(同法72条の14第1項本文),

平成15年法改正後においては,

法人事業税の所得割の課税標準は各事業年度の所得によるものとされ

(地方税法72条の2第1項1号イ,72条の12第1号ハ),

その所得の計算につき,上記と同様の例によって

算定するものとされている(同法72条の23第1項本文)。

 

また,平成15年法改正の前後を通じて,

上記特別の定めとして条例等により

欠損金の繰越控除の特例を設けることを

許容するものと解される規定は存在しない。

 

これらの点からすれば,

法人税法の規定する欠損金の繰越控除は,

平成15年法改正前においては

法人事業税の課税標準である各事業年度の所得の金額の計算について,

平成15年法改正後においては法人事業税の所得割の課税標準である

各事業年度の所得の金額の計算について,

いずれも必要的に適用すべきものとされていると解され,

法人税法の規定の例により欠損金の繰越控除を定める地方税法の規定は,

法人事業税に関する同法の強行規定であるというべきである。

 

ウ このように,法人事業税の所得割の課税標準

(平成15年法改正前は法人事業税の課税標準。以下同じ。)

である各事業年度の所得の金額の計算においても,

上記アと同様に,各事業年度間の所得の金額と

欠損金額の平準化を図り,事業年度ごとの

所得の金額の変動の大小にかかわらず法人の税負担を

できるだけ均等化して公平な課税を行うという趣旨,目的から,

地方税法の規定によって欠損金の繰越控除の

必要的な適用が定められているものといえるのであり,

このことからすれば,たとえ欠損金額の一部についてであるとしても,

条例において同法の定める欠損金の繰越控除を排除することは許されず,

仮に条例にこれを排除する内容の規定が設けられたとすれば,

当該条例の規定は,同法の強行規定と矛盾抵触するものとして

これに違反し,違法,無効であるというべきである。

 

(4) 以上のことを踏まえ,本件条例の規定の趣旨,目的,

内容及び効果について検討すると,本件条例は,

特例企業税の課税標準を定めた7条1項の規定の文言を一見した限りでは,

各課税事業年度における法人事業税の所得割の課税標準

(平成16年条例改正前は法人事業税の課税標準)

である所得の金額の計算上,原則として

繰越控除欠損金額を損金の額に算入しないものとして

計算した場合における当該各課税事業年度の所得の金額に

相当する金額(すなわち,欠損金の繰越控除をしない場合の所得の金額)

をその課税標準とするように見えるものの,同項括弧書きにおいて

繰越控除欠損金額に相当する金額がその上限とされており,

さらに,繰越控除欠損金額の上限は欠損金の繰越控除をしない場合の

所得の金額であること(法人税法57条1項ただし書)からすれば,

その実質は,繰越控除欠損金額それ自体を課税標準とするものにほかならず,

法人事業税の所得割の課税標準である各事業年度の

所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を一部排除する効果を

有するものというべきである。

 

また,上記のような実質を有する法定外普通税である

特例企業税が設けられた経緯は前記3(1)の事実関係のとおりであり,

このような特例企業税の創設の経緯等にも鑑みると,

本件条例は,最終報告書に記載されているように,

上記の所得の金額の計算において,欠損金の繰越控除のうち

約30%につきその適用を遮断することを意図して

制定されたものというほかはない。

 

以上によれば,特例企業税を定める本件条例の規定は,

地方税法の定める欠損金の繰越控除の適用を一部遮断することを

その趣旨,目的とするもので,特例企業税の課税によって

各事業年度の所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を実質的に

一部排除する効果を生ずる内容のものであり,

各事業年度間の所得の金額と欠損金額の平準化を図り

法人の税負担をできるだけ均等化して公平な課税を行うという趣旨,

目的から欠損金の繰越控除の必要的な適用を定める

同法の規定との関係において,その趣旨,目的に反し,

その効果を阻害する内容のものであって,

法人事業税に関する同法の強行規定と矛盾抵触するものとして

これに違反し,違法,無効であるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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