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【判例】租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)35条1項(平成元年3月28日最高裁)租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)35条1項にいう「当該家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたもの」の譲渡の意義

(平成元年3月28日最高裁)

事件番号  昭和61(行ツ)7

 

最高裁判所の見解

 

租税特別措置法三五条一項所定の居住用財産の譲渡所得の特別控除は、

個人が自ら居住の用に供している家屋及び

その敷地等を譲渡するような場合には、

これに代わる居住用財産を取得するのが通常であるなど、

一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり、

担税力も高くない例が多いこと等を考慮して設けられた特例であり、

この趣旨は、同項の現に居住の用に供している

家屋等の譲渡に関する部分(以下「前半部分」という。)と

居住の用に供されなくなつた家屋等の譲渡に

関する部分(以下「後半部分」という。)とで何ら変わるものではない。

 

そして、同項の後半部分の規定は、

居住用財産を処分しようとする場合に、

社会の実情としては、譲渡時まで引き続いて当該家屋に

居住することの困難な事情があることが少なくないところから、

当該家屋を居住の用に供しなくなつたのち一定期間内の譲渡についても、

右特別控除を認めることとしたものである。

 

すなわち、右規定は、当該家屋を居住の用に

供しなくなつたのちの所定期間内の譲渡は、

依然社会通念上居住用財産の譲渡といいうるとみて、

これにつき右特別控除を認めるものと解される。そうすると、

同条の後半部分の規定は、その前半部分の規定と

統一的に理解すべきものであつて、

それと同様に、当該個人が、当該家屋を、

譲渡所得の帰属者の立場において、すなわちその所有者として

居住の用に供していたことを右特別控除を

認めるための要件とするものとみなければならない。

 

したがつて、かつて当該家屋を居住の用に供していた個人が、

それを居住の用に供しなくなつたのちにその所有権を取得した場合には、

たとえ同項後半部分の所定期間内にそれを譲渡しても、

右特別控除を認める余地はない。

 

このことは、その所有権取得の原因が相続であつても、

当該個人自身が所有者として当該家屋を

居住の用に供していたことがない以上、

異なるところはない。

 

原審の適法に確定したところによれば、

上告人は、本件家屋に夫亡Dとともに居住していたが、

昭和五三年四月ころ本件家屋から夫とともに

転居してそこに居住しなくなつたのち、

昭和五四年五月九日夫が死亡したため相続により

本件家屋の所有権を取得し、

それを昭和五五年一二月二七日他に売り渡した、

というのであり、結局、上告人は所有者として

本件家屋を居住の用に供していたことがないことになるから、

右譲渡につき、租税特別措置法三五条一項後半部分の場合に当たるものとして、

同項所定の特別控除を認めることはできないものといわざるをえない。

原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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