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【判例】職務執行命令訴訟における補助参加の許否と憲法32条 (平成8年2月26日最高裁)職務執行命令訴訟における補助参加の許否と憲法32条

(平成8年2月26日最高裁)

事件番号  平成8(行ト)12

 

最高裁判所の見解

抗告人らは、前文記載の事件の被告を補助するために

参加を申し出たものであるところ、

右事件は地方自治法一五一条の二第三項に基づく職務執行命令訴訟として

提起されたものであることが記録上明らかである。

 

都道府県知事は、法律に基づき委任された

国の事務を処理する関係においては、

国の機関としての地位を有し、その事務処理については、

主務大臣の指揮監督を受けるべきものである

(国家行政組織法一五条一項、地方自治法一五〇条)が、

右事務の管理執行に関する主務大臣の指揮監督につき、

いわゆる上命下服の関係にある国の

本来の行政機構内部における指揮監督の方法と

同様の方法を採用することは、

都道府県知事本来の地位の自主独立性を害し、

ひいては地方自治の本旨にもとる結果となるおそれがある。

 

そこで、地方自治法一五一条の二は、

都道府県知事本来の地位の自主独立性の尊重と

国の委任事務を処理する地位に対する国の指揮監督権の

実効性との間の調和を図る趣旨から、

職務執行命令訴訟の制度を採用したものである。

 

そして、右訴訟においては、主務大臣の都道府県知事に対する命令の適法性が

審理の対象となり、裁判所がその適法性を是認する場合には、

裁判所は、当該都道府県知事に対し、

当該事項を行うべきことを命ずる判決をすることになり

(同条六項)、右判決には、都道府県知事が

判決に定められた期限までに当該事項を行わないときは、

主務大臣が代執行権を行使することが

できる旨の効果が付与されており(同条八項)、

これによって、主務大臣の指揮監督権の実効性が確保されている。

 

以上によれば、職務執行命令訴訟は、

国の委任を受けて都道府県知事が管理執行する事務に関する

行政機構内部における意思決定過程で、

行政機関の間に法令解釈等をめぐる対立があった場合において、

その対立の調整手段として法が特に認めた

客観的訴訟の性質を有するものと解され、

裁判所が主務大臣の請求に理由があると認めて、

都道府県知事に対し、当該事項を行うべきことを命じた場合であっても、

行政機構内部における本来の方法によって

当該事項を執行すべきことが決定されたのと

同様の効果を生ずるにとどまるものというべきである。

 

かかる訴訟については、右指揮命令の適法性をめぐり

対立する主務大臣と都道府県知事との間で

訴訟が追行されることが予定されており、

本来行政機構内部における意思決定過程に

介入することが認められていない者が、

これに関与することは法の全く予定しないところであるといわざるを得ない。

 

したがって、職務執行命令訴訟については、その性質上、

民訴法の補助参加に関する規定を準用する余地はないとした原審の判断は、

正当として是認することができる。

 

そして、このように解しても憲法三二条の規定に

違反するものでないことは、最高裁昭和三二年(オ)第一九五号

同三五年一二月七日大法廷判決・民集一四巻一三号二九六四頁の

趣旨に徴して明らかであって、憲法三二条違反をいう論旨は理由がない。

その余の論旨は、違憲をいう部分もあるが、

その実質は、原決定の右判断における法令の

解釈適用の誤りをいうものにすぎない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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