スポンサードリンク

【判例】裁判所法3条1項にいう法律上の争訟 (平成3年4月19日最高裁)裁判所法3条1項にいう法律上の争訟

(平成3年4月19日最高裁)

事件番号  平成2(行ツ)192

 

最高裁判所の見解

裁判所法三条一項の規定にいう「法律上の争訟」として

裁判所の審判の対象となるのは、

当事者間の具体的な権利義務ないし

法律関係の存否に関する紛争に限られるところ、

このような具体的な紛争を離れて、

裁判所に対して抽象的に法令が憲法に

適合するかしないかの判断を求めることはできないものというべきである

(最高裁昭和二七年(マ)第二三号同年一〇月八日大法廷判決・

民集六巻九号七八三頁、同昭和六一年(オ)

第九四三号平成元年九月八日第二小法廷判決・

民集四三巻八号八八九頁参照)。

 

これを本件についてみるに、本件各訴えは、

地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則及び

家庭裁判所出張所設置規則の一部を改正する規則

(平成元年最高裁判所規則第五号。以下「本件改正規則」という。)のうち、

福岡地方裁判所及び福岡家庭裁判所の各甘木支部を廃止する部分について、

これが憲法三二条、一四条一項、前文に違反するとし、また、

本件改正規則の制定には同法七七条一項所定の規則制定権の

濫用の違法がある等として、上告人らが廃止に係る

福岡地方裁判所及び福岡家庭裁判所の

各甘木支部の管轄区域内に居住する国民としての立場で

その取消しを求めるというものであり、上告人らが、

本件各訴えにおいて、裁判所に対し、

右の立場以上に進んで上告人らにかかわる具体的な紛争について

その審判を求めるものでないことは、

その主張自体から明らかである。

 

そうすると、本件各訴えは、結局、

裁判所に対して抽象的に最高裁判所規則が

憲法に適合するかしないかの判断を求めるものに帰し、

裁判所法三条一項にいう「法律上の争訟」

に当たらないというほかはない。

 

以上のとおりであるから、原審が本件各訴えを

右「法律上の争訟」に当たらないとした判断は、

正当として是認することができる。

 

所論は憲法三二条違反をいうが、

原審が本件各訴えを右「法律上の争訟」に当たらないと

判断したことが憲法三二条に違反するものでないことは、

最高裁昭和二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決・

刑集三巻三号三五二頁、同昭和三二年(オ)第一九五号同三五年一二月七日大法廷判決・

民集一四巻一三号二九六四頁の趣旨に徴して明らかである。

 

不適法な訴えでその欠缺を補正することができないものである場合には、

口頭弁論を経ないで判決をもって右訴えを却下することができる

(民訴法三七八条、二〇二条参照)ところ、本件各訴えは、

前記のとおり裁判所法三条一項にいう「法律上の争訟」

に当たらないものであるから、不適法な訴えで

その欠缺を補正することができないものに当たるというべきである。

 

したがって、原審が本件各訴えにつき口頭弁論を開く措置を

探らなかったことに所論の違法があるということはできない。

 

所論違憲の主張も、その実質は、

原審が口頭弁論を開かなかったことの違法を

主張するものにすぎず、失当である。

論旨は、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク