スポンサードリンク

【判例】認知無効の訴えの許否 (平成3年9月13日最高裁)認知無効の訴えの許否

(平成3年9月13日最高裁)

事件番号  昭和62(オ)754

 

最高裁判所の見解

 

 

 

法例(平成元年法律第27号による改正前のもの)一八条一項は、

認知の要件につき、父又は母(以下「認知者」という。)に関しては

認知の当時の認知者の属する国の法律によりこれを定め、

子(以下「被認知者」という。)に関しては

認知の当時の被認知者の属する国の法律により

これを定める旨を規定しているが、同条は、

国籍を異にする認知者と被認知者との間の

身分関係を肯定するのに確実を期するとともに、

不確実な身分関係を排除するため、

認知者及び被認知者のそれぞれの本国法によって

認知の要件を具備する場合に認知の効力を

肯定することができるものとした規定であると解すべきである。

 

したがって、認知者及び被認知者の各本国法の規定する

認知の有効要件が異なる場合には、

一方の本国法によって認知が有効とされるだけでは足りず、

他方の本国法によっても認知が有効とされるときに、

初めて認知の効力を肯定することができ、

認知者及び被認知者の各本国法の規定する認知の

無効要件が異なる場合には、

一方の本国法によって認知が無効とされるときは、

他方の本国法によって認知が無効とされないときであってもなお、

認知の効力を否定することができるというべきである。

 

そして、右のような法例一八条一項の趣旨にかんがみれば、

子が父に対して認知を求めるにつき、

出訴期間の制限がある場合には、

父又は子の一方の本国法の規定する出訴期間を徒過していれば、

当該認知を求める訴えは不適法として却下を免れないが

(最高裁昭和五〇年(オ)第九三号同年六月二七日第二小法廷判決・

裁判集民事一一五号一六一頁参照)、

子が父に対して父がした認知の無効確認を求めるにつき、

出訴期間の制限がある場合には、

父及び子の双方の本国法の規定する出訴期間を徒過していない限り、

当該認知の無効確認を求める訴えを適法として、

認知の効力の有無を判断すべきものである。

 

これを本件についてみるに、上告人の訴えは、

大韓民国の国籍を有する亡Dが日本国の国籍を有する

上告人に対してした本件認知の無効確認を求めるものであるところ、

亡Dの本国法である大韓民国民法八六二条、八六四条によれば、

本件訴えは同条の規定する出訴期間を徒過しているため、

本件認知の効力を争うことはできないが、

上告人の本国法である我が国の法律によれば、

なお本件認知の効力を争い得るものと解されるのであるから、

本件訴えはこれを不適法として却下すべきものではなく、

本件認知の効力の有無について進んで

本案判断をすべきものであったといわなければならない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク