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【判例】調書に判決言渡期日の記載がないときと判決言渡の証明 (平成3年10月15日最高裁)調書に判決言渡期日の記載がないときと判決言渡の証明

(平成3年10月15日最高裁)

事件番号  平成1(オ)375

 

最高裁判所の見解

記録によると、昭和六三年一〇月一二日午後一時三〇分に開かれた

原審第五回口頭弁論期日の調書には、同日弁論が終結され、

判決言渡期日が同年一二月五日午後一時一五分と

指定告知された旨の、また、原審第六回口頭弁論期日の調書には、

判決言渡が延期され、言渡期日が同月二一日午後一時一五分と

指定告知された旨の各記載があること、その後、原審は、

同月一六日、判決言渡期日を同月二六日午後一時一五分に

変更する旨の決定をし、右決定は同日当事者双方に

電話で告知されたことが認められる。

 

また、記録によると、原審第七回口頭弁論期日の調書の

「弁論の要領」欄には、裁判長が判決原本に基づき

判決を言い渡した旨の記載があるが、

「期日」欄は空欄のままであって、

右期日の年月日及び時刻の記載がない。

 

もっとも、判決正本には、頭書部分の上欄に、

「昭和六三年一二月二六日判決言渡

昭和六三年一二月二六日原本付」

との記載と裁判所書記官の押印があり、同日及び

翌二七日に当事者双方に

それぞれ判決正本が送達されたことが認められる。

 

しかしながら、判決言渡の方式が、

民訴法一四七条にいわゆる口頭弁論の方式に該当することは、

当裁判所の判例(最高裁昭和二四年(オ)

第二二四号同二六年二月二二日第一小法廷判決・

民集五巻三号一〇二頁、同三五年(オ)第五七二号

同三七年一二月二一日第二小法廷判決・

裁判集民事六三号七九五頁)であるところ、

同条は、口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によってのみ

証明することができる旨を定めており、

したがって、調書上、記載がない事実については、

右事実の証明がないことに帰する。

 

これを本件についてみるのに、

判決言渡期日の調書には、「期日」欄が空欄のままであって、

右期日の年月日及び時刻の記載がないというのであるから、

原審が指定した言渡期日に言渡しがされたのか否か明らかでなく、

したがって、原判決が適法に言い渡されたことを認めることができない。

 

なお、記録によれば、平成元年三月一三日付けで、

原審第七回口頭弁論期日の調書の期日欄を

「昭和六三年一二月二六日午後一時一五分」と

更正する旨の裁判所書記官による更正調書が

作成されていることが認められるが、

右更正調書は、上告代理人が原審第七回口頭弁論期日の

調書の前記瑕疵を指摘した本件上告理由書が提出された

平成元年二月三日の後に作成されたことが明らかであるから、

右更正調書もその効力を有しないと解するのが相当である

(最高裁昭和三九年(オ)第九二四合同四二年五月二三日第三小法廷判決・

民集二一巻四号九一六頁参照)。

 

したがって、原判決は、

判決の手続が法律に違背したものであるから

民訴法三九六条、三八七条の適用により

破棄を免れないものといわなければならず、

本件を原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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