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【判例】警察官の違法行為の結果収集された証拠の証拠能力 (平成8年10月29日最高裁)警察官の違法行為の結果収集された証拠の証拠能力

(平成8年10月29日最高裁)

事件番号  平成6(あ)611

 

最高裁判所の見解

警察官が捜索の過程において関係者に

暴力を振るうことは許されないことであって、

本件における右警察官らの行為は違法なものというほかはない。

 

しかしながら、前記捜索の経緯に照らし

本件覚せい剤の証拠能力について考えてみると、

右警察官の違法行為は捜索の現場においてなされているが、

その暴行の時点は証拠物発見の後であり、

被告人の発言に触発されて行われたものであって、

証拠物の発見を目的とし捜索に利用するために

行われたものとは認められないから、

右証拠物を警察官の違法行為の結果収集された証拠として、

証拠能力を否定することはできない。

 

なお、前記手帳についても、

警察官がこれを入手するについて

所定の手続を経ていないことは事実であるが、

この手帳の押収手続に違法があるからといって、その違法が、

右手帳の入手に先立ち、これと全く無関係に

発見押収された本件覚せい剤の証拠能力にまで

影響を及ぼすものということはできない。

 

また、被告人の尿に関する鑑定書についても、

原判決の認定及び記録によれば、被告人は、

第一審公判において、警察官から

前記暴行を受けた事実をしきりに訴えてはいるものの、

尿については、覚せい剤を使用したのは事実であるから、

その提出を拒む意思は当初からなかったとして、

尿を任意に提出した旨供述していたというのであるから、

前記暴行は尿を提出することについての

被告人の意思決定に実質的な影響を及ぼさなかったものと認められるのであり、

任意提出の手続に何らの違法もない。

 

三 そうすると、本件覚せい剤及びその鑑定書並びに

被告人が提出した尿の鑑定書の証拠能力は

いずれもこれを肯定することができるから、

その証拠能力を否定した第一審判決を破棄し、

本件を和歌山地方裁判所に差し戻した原判決は正当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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