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【判例】譲渡担保(平成9年4月11日最高裁)譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者の譲渡担保権設定者に対する明渡請求と譲渡担保権設定者の留置権の主張の可否

(平成9年4月11日最高裁)

事件番号  平成5(オ)358

 

最高裁判所の見解

不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、

譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として

目的不動産を第三者に譲渡したときは、

譲渡担保権設定者は、右第三者又は同人から

更に右不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、

譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする

留置権を主張することができるものと解するのが相当である

(最高裁昭和五五年(オ)第二一一号同五八年三月三一日第一小法廷判決・

民集三七巻二号一五二頁参照)。

 

原審の適法に確定したところによれば、

(1) 被上告人は、昭和六一年一〇月三〇日までに

Dから三六〇万円を借り受け、同日、その担保のため、

自己所有の本件建物の所有権をDに移転し、

売買を原因とする所有権移転登記を経由した、

(2) 被上告人が右貸金債務の返済を遅滞したことから、

Dは、平成元年九月二一日ころ、譲渡担保権の実行として、

本件建物を株式会社E建設に売り渡した、

(3) E建設は、同日ころ、本件建物をFに売り渡した、

(4) Fは、同日ころ、本件建物を上告人に売り渡し、

同月二六日、本件建物につき、Dから中間省略登記の方法により

上告人名義に所有権移転登記が経由された、

(5) Dは本件譲渡担保につき被上告人に対して

清算金の支払義務を負っている、というのである。

 

したがって、本件建物を占有する被上告人は、

上告人に対しても、Dから清算金の支払を受けるまで、

本件建物につき留置権を行使してその明渡しを

拒絶することができるものというべきである。

 

右によれば、上告人の本件建物の所有権に基づく明渡請求に対して、

被上告人がDに対する清算金支払請求権を被担保債権とする

留置権の抗弁を主張している本件において、

原審が、被上告人に対し、Dから清算金の支払を受けるのと引換えに

本件建物を上告人に明け渡すことを命じたのは、正当である。

 

所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。

原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って

原判決の違法をいうものであって、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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