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【判例】連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行と主債務の消滅時効の中断 (平成8年9月27日最高裁)連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行と主債務の消滅時効の中断

(平成8年9月27日最高裁)

事件番号  平成7(オ)1914

 

最高裁判所の見解

1(一) 物上保証人所有の不動産を目的とする抵当権の実行としての

競売の申立てがされ、執行裁判所が、競売開始決定をした上、

同決定正本を債務者に送達した場合には、

債務者は、民法一五五条により、当該抵当権の

被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けるが

(最高裁昭和四七年(オ)第七二三号同五〇年一一月二一日第二小法廷判決・

民集二九巻一〇号一五三七頁参照)、債権者甲が乙の主債務についての

丙の連帯保証債務を担保するために抵当権を設定した

物上保証人丁に対する競売を申し立て、

その手続が進行することは、乙の主債務の

消滅時効の中断事由に該当しないと解するのが相当である。

 

けだし、抵当権の実行としての競売手続においては、

抵当権の被担保債権の存否及びその額の確定のための手続が予定されておらず、

競売開始決定後は、執行裁判所が適正な換価を行うための手続を職権で進め、

債権者の関与の度合いが希薄であることにかんがみれば、

債権者が抵当権の実行としての競売を申し立て、

その手続が進行することは、抵当権の被担保債権に関する

裁判上の請求(同法一四九条)又は

これに準ずる消滅時効の中断事由には該当しないと解すべきであり、また、

執行裁判所による債務者への競売開始決定正本の送達は、

本来債権者の債務者に対する意思表示の方法ではなく、

競売の申立ての対象となった。

 

2 被上告人は、上告人らによる本件ローン契約上の債権についての

消滅時効の援用が信義則に反すると主張するけれども、

上告人A1が、真実マンションを購入する意思がなく、

訴外会社の資金繰りのために本件ローン契約を締結したとしても、

上告人らは、自らマンション購入者として

本件ローン契約を締結するなどしたのであるから、

上告人らが本件ローン契約上の債権の消滅時効を

援用することが信義則に反するということはできない。

 

以上のとおり、本件ローン契約上の債権が時効により

消滅したとの上告人らの主張を排斥した原審の判断には、

法令の解釈を誤った違法があるというべきであり、

右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

この点の違法をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

 

四 被上告人は、上告人らと訴外会社及び上告補助参加人らは

取引上一体というべき関係にあるとして、

上告補助参加人らが被上告人に対して本件根抵当権の

設定登記の抹消登記手続を求めて提起した訴訟

(東京地方裁判所昭和六〇年(ワ)第三八七六号事件。

以下「別件訴訟」という。)に被上告人が応訴し、

請求棄却を求めるとともに、

上告人A1及び訴外会社に対する債権の存在を

主張立証したことには裁判上の請求に準ずるもの又は

裁判上の催告としての時効中断の効力があり、

上告補助参加人らが別件訴訟の和解手続において

被上告人に対する債務の存在を認めたことは

時効中断事由としての承認に当たる旨を主張するが、

記録によってうかがわれる被上告人の主張事実によっても、

上告人らと訴外会社及び上告補助参加人らが

取引上一体というべき関係にあったということはできない上、

上告人ら及び訴外会社はいずれも別件訴訟の当事者ではなかったのであるから、

別件訴訟における被上告人又は上告補助参加人らの訴訟活動が

本件ローン契約上の債権につき消滅時効の中断の効力を及ぼすと

解する余地のないことは明らかである。

 

そして、他に右債権の消滅時効の中断事由に関する主張立証はない。

そうすると、本件ローン契約上の

債権は上告人らによる時効の援用により消滅し、

それに伴い、上告人A2の連帯保証債務も消滅したものであるから、

被上告人の本訴請求はいずれも理由がなく、

これを棄却すべきものである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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