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【判例】過失相殺割合の判断が裁量権の範囲を逸脱して違法であるとされた事例 (平成2年3月6日最高裁)過失相殺割合の判断が裁量権の範囲を逸脱して違法であるとされた事例

(平成2年3月6日最高裁)

事件番号  昭和63(オ)960

 

最高裁判所の見解

被上告人が本件断食道場で施した断食療法は、

断食を通じて慢性病等の治療をし

その健康の維持回復を図ることを目的とし、

被上告人が入院者に対しその健康状態、

病状等を質問して入院期間を決定するものであって、

診療というべきものであり、その内容も一定期間、

一切又は特定の飲食物を摂取しないことを基本方法とするものであり、

その期間の長短、摂取を禁ずる飲食物の種類、量等や入院者の体質、

病歴、症状、体調のほか、施術者の医学知識の有無、程度などの

いかんによっては、入院者を死に至らせることになったり、

病状を更に悪化させる虞れのあることが当然に予想されるものであるから、

医師の資格を有しない被上告人としては、

訴外Kのような重篤な糖尿病患者で医師の指示のもとで

インシュリン注射や飲み薬を常用する者を入院させるに当たっては、

断食療法の可否について事前に担当医師の指示を受けてくるように

指導する義務があり、医師の指示を受けず、かつ、

医師の指示による投薬を中止して入院する者に対しては、

入院後の容態に細心の注意を払い、

病状悪化の徴候がある場合には、直ちに施術を中止して

専門医の診療を受ける機会を与えるべき義務があり、

被上告人にはこれらの注意義務を

怠った過失があったものというべきところ、

被上告人が本件断食道場で訴外Kに施した

断食療法が診療というべきものであることを考慮すると、

被上告人の右過失の態様は重大であり、訴外Kにも、

被上告人が医師の資格がないことを知りながら、

現に治療を受け、インシュリン注射等の常用を指示していた

担当医師に対して、インシュリン注射等の中止や

断食療法を受けることの可否等を事前に相談せず、

漫然と被上告人の言葉を信用して同医師の指示に反して

インシュリン注射等を中止したため、本件死亡事故に

至った過失があることを考えても、原審の定めた

被上告人の過失割合は著しく低きにすぎ、

右判断は裁量権の範囲を逸脱して

違法であるといわなければならない。

 

そして、右違法は、前記過失割合に基づいて上告人らの

損害賠償額を認定した原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、

この違法をいう論旨は理由があり、

原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れず、

被上告人及び訴外Kの過失割合について更に審理を尽くさせるため、

右破棄部分につき本件を原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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