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【判例】預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡を第三者に対抗するための要件 (平成8年7月12日最高裁)預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡を第三者に対抗するための要件

(平成8年7月12日最高裁)

事件番号  平成7(オ)2080

 

最高裁判所の見解

原審の確定したところによれば、

本件会員権は預託金会員制ゴルフクラブの会員権であり、

その法律関係は会員と本件ゴルフクラブを

経営するIとの債権的契約関係であるが、

会員権の譲渡については、譲渡を受けた者は、Iの承認を得た上、

会員権について名義書換えの手続をしなければならないものとされている。

 

右の趣旨は、会員となろうとする者を事前に審査し、

会員としてふさわしくない者の入会を認めないことにより、

ゴルフクラブの品位を保つことを

目的とするものというべきであるから、

Iとの関係では、会員権の譲渡を受けた者は、

その承認を得て名義書換えがされるまでは会員権に基づく

権利を行使することができないが、譲渡の当事者間においては、

名義書換えがされたときに

本件ゴルフクラブの会員たる地位を取得するものとして、

会員権は、有効に移転するものというべきである。

 

そして、この場合において、右譲渡をI以外の第三者に対抗するには、

指名債権の譲渡の場合に準じて、

譲渡人が確定日付のある証書によりこれをIに通知し、

又はIが確定日付のある証書によりこれを承諾することを要し、かつ、

そのことをもって足りるものと解するのが相当である。

 

もっとも、従来、会員権の譲渡に際して

確定日付のある証書による通知承諾の手続が

必ずしも履行されていなかったという実情を勘案すれば、

現在までに会員権を譲り受け、既に名義書換えを

完了してゴルフクラブにおいて会員として

処遇されている者については、

その後に当該会員権を二重に譲り受けた者や

差押債権者等が、当該会員が右のような

対抗要件具備の手続を経ていないことを理由として

その権利取得を否定することが、

信義則上許されない場合があり得るというべきである。

 

そうすると、被上告会社が前記会員権譲渡通知書を内容証明郵便により

発送したことはHに代わってこれを行ったものと解することができるから、

右内容証明郵便がIに到達したことにより、

被上告会社は、本件会員権の取得について第三者に対する

対抗要件を備えたものというべきである。

 

そして、他方、Iの上告会社に対する入会承諾書には

確定日付が付されていないところ、

原審の前記認定事実によれば、被上告会社については、

上告会社が確定日付のある証書による通知承諾の手続を

経ていないことを主張することが信義則上許されないというべき事情は

認められない。

 

したがって、被上告会社は、本件会員権の取得をもって、

上告会社に対抗することができるものというべきである。

 

右と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。

論旨は、独自の見解に基づき、又は原判決を正解しないで

これを非難するものであって、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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