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【判例】食品衛生法違反処分取消請求事件 (平成16年4月26日最高裁)食品衛生法違反処分取消請求事件

(平成16年4月26日最高裁)

事件番号  平成15(行ヒ)206

 

最高裁判所の見解

(1) 法は,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止することなどを目的とし,

この目的を達成するために,厚生労働大臣に対し,

食品等に関し,基準及び規格の設定,販売等の禁止,

検査命令及び廃棄命令の発令等についての権限を付与している

(法4条の2,7条,10条,15条,平成14年

法律第104号による改正前の食品衛生法22条等)。

 

このように,法は厚生労働大臣に対して食品等の安全を

確保する責任と権限を付与しているところ,法16条は,

販売の用に供し,又は営業上使用する食品等を輸入しようとする者は,

厚生労働省令の定めるところにより,その都度厚生労働大臣に

輸入届出をしなければならないと規定しているのであるから,

同条は,厚生労働大臣に対し輸入届出に係る食品等が

法に違反するかどうかを認定判断する権限を付与していると解される。

 

そうであるとすれば,法16条は,厚生労働大臣が,

輸入届出をした者に対し,その認定判断の結果を告知し,

これに応答すべきことを定めていると解するのが相当である。

 

(2) ところで,食品衛生法施行規則15条は,

法16条の輸入届出は所轄の検疫所長に対して

輸入届出書を提出して行うべきことを規定しているが,

検疫所において実施する法に基づく

輸入食品等監視指導業務の取扱基準を定めた

前記輸入食品等監視指導業務基準によると,検疫所長は,

食品等を輸入しようとする者に対し,当該食品等が,

法の規定に適合すると判断したときは食品等輸入届出済証を交付し,

これに違反すると判断したときは食品衛生法違反通知書を

交付することとされている。

 

このような食品等輸入届出済証の交付は厚生労働大臣の委任を受けて

検疫所長が行う当該食品等が法に違反しない旨の応答であり,

食品衛生法違反通知書の交付はこれに違反する旨の応答であって,

これらは,前記(1)の法16条が定める輸入届出をした者に対する

応答が具体化されたものであると解される。

 

(3) 一方,関税法70条2項は,

「他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は

条件の具備を必要とする貨物については,

第67条(輸出又は輸入の許可)の検査その他輸出申告又は

輸入申告に係る税関の審査の際,当該法令の規定による

検査の完了又は条件の具備を税関に証明し,

その確認を受けなければならない。」と規定しているところ,

ここにいう「当該法令の規定による検査の完了又は条件の具備」は,

食品等の輸入に関していえば,法16条の規定による輸入届出を行い,

法の規定に違反しないとの厚生労働大臣の認定判断を受けて,

輸入届出の手続を完了したことを指すと解され,

税関に対して同条の輸入届出の手続が完了したことを証明し,

その確認を受けなければ,関税法70条3項の規定により,

当該食品等の輸入は許可されないものと解される。

 

関税法基本通達70-3-1が,

関税法70条2項の規定の適用に関し,

法6条等の規定については,「第16条の規定により厚生労働省,

食品衛生監視員が交付する「食品等輸入届出書」の届出済証」により,

関税法70条2項に規定する

「検査の完了又は条件の具備」を証明させるとし,

関税法基本通達67-3-6,67-1-9が,

輸入申告書に食品等輸入届出済証等の証明書類の添付がないときは,

輸入申告書の受理を行わず,申告者に返却すると規定しているのも,

上記解釈と同じ趣旨を明らかにしたものである。

 

(4) そうすると,食品衛生法違反通知書による本件通知は,

法16条に根拠を置くものであり,

厚生労働大臣の委任を受けた被上告人が,

上告人に対し,本件食品について,法6条の規定に違反すると認定し,

したがって輸入届出の手続が完了したことを証する

食品等輸入届出済証を交付しないと決定したことを

通知する趣旨のものということができる。

 

そして,本件通知により,上告人は,本件食品について,

関税法70条2項の「検査の完了又は条件の具備」を税関に証明し,

その確認を受けることができなくなり,その結果,

同条3項により輸入の許可も受けられなくなるのであり,

上記関税法基本通達に基づく通関実務の下で,

輸入申告書を提出しても受理されずに返却されることとなるのである。

 

(5) したがって,本件通知は,

上記のような法的効力を有するものであって,

取消訴訟の対象となると解するのが相当である。

論旨は理由がある。

 

以上述べたところと異なる見解に立って

本件訴えを不適法であるとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そして,第1審判決を取り消し,本案について審理させるため,

本件を第1審に差し戻すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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