公文書非公開処分取消請求事件

(平成13年12月14日最高裁)

事件番号  平成11(行ヒ)221

 

最高裁判所の見解

(1) 本件条例2条1項は,

「この条例において『公文書』とは,実施機関の職員が

職務上作成し,又は取得した文書,図画及び写真

(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)であって,

決裁,供覧等の手続が終了し,

実施機関が管理しているものをいう。」

と規定している。

 

したがって,本件請求に係る文書が本件条例による

公開請求の対象となる公文書に当たるというためには,

実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した同項に掲げる

文書等(以下「文書等」という。)であり,かつ,

実施機関が管理しているものであることを要すると解される。

 

そして,同条3項は,上告人を実施機関としているが,

県議会ないし県議会議長を実施機関としていないから,

県議会議員若しくは同事務局職員が職務上作成し,かつ,

取得した文書等,又はこれらの者が管理している文書等は,

上記の公開請求の対象となる公文書には

含まれないものというべきである。

 

(2) 本件請求に係る文書は,具体的には「経費支出伺」,

「支出負担行為決議書兼支出命令書」,「旅行命令簿兼旅費請求書」及び

「復命書」であるところ,これらが予算執行に何らかの

関連を有する文書であることは,肯認することができる。

 

しかしながら,これらの文書の件名からすれば,

予算執行事務を行う職員(以下「予算執行職員」という。)が

作成したことが明らかなのは,

「支出負担行為決議書兼支出命令書」のみであり,

その余の文書は,予算執行の前提となる県議会議長の交際事務,

県議会議員や同事務局職員の旅行命令等の決裁,報告等であって,

予算執行以外の事務のために作成したものであるか,

又は予算執行の前提として作成するものではあっても,

予算執行職員が自ら作成したものでない可能性のある文書と考えられる。

 

また,一般に,「旅費請求書」は予算執行職員が取得するものであるから,

「旅行命令簿兼旅費請求書」は予算執行職員が

取得した文書である可能性が高いが,

「経費支出伺」及び「復命書」は,予算執行職員が

当然に取得する文書であるとは考え難い。

 

ところが,原審は,これらの文書が予算執行職員が作成し,

又は取得したものであることを肯認するに足りる

事実を何ら確定しておらず,

本件記録を精査しても,これを見いだすことはできない。

 

(3) 徳島県会計規則(昭和39年徳島県規則第23号)48条1項は,

収入及び支出の証拠書類の保存を規定しているが,

保存の主体については規定しておらず,上告人の主張によれば,

上記各文書は,予算執行終了後は,

県議会が徳島県議会事務局文書編さん保存規程等に基づいて,

県議会の他の文書と同様に編さんして

県議会事務局の文書保管庫に保存しているというのである。

 

そうすると,仮に上記各文書が予算執行職員の作成し,

又は取得した文書であるとしても,そのことから,

その保存の根拠規定,保存に至る手続,保存の方法等の実態について

検討しないまま,直ちに予算執行職員の管理する

文書であるということはできない。

 

そして,これらの点について,原審は,何ら審理判断しないまま,

前記の結論を導いているものである。

 

地方自治法149条8号は,証書及び公文書類の「保管」を

普通地方公共団体の長の担任事務としているが,

同号は当該地方公共団体のすべての証書及び公文書類の

保管の総括的な責任と権限を有する者が

長であることを明らかにしたものにすぎない。

 

これに対し,本件条例2条1項にいう「管理」は,

同条3項に掲げられた各実施機関が

その主体であると構成されていることからみても,

上記の「保管」と異なり,当該公文書を現実に支配,管理していることを

意味するものと解すべきである。

 

したがって,地方自治法149条8号を根拠に,

県における保存の実態等を考慮しないまま,

上記各文書を上告人が管理するものと断定することは,

できないものというほかはない。

 

(4) 以上によれば,

県の予算執行事務の権限が上告人に属することから

直ちに本件請求に係る文書はすべて本件条例により

公開請求をすることができる公文書に当たるとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そして,本件については,上記各文書を作成し,取得し,

又は管理しているのが上告人ないしその補助職員であるか否かにつき

更に審理の上,本件条例により公開請求をすることができる

公文書に当たるか否かを判断すべきであるから,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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