国籍確認請求事件

(平成15年6月12日最高裁)

事件番号  平成13(行ツ)39

 

最高裁判所の見解

一般的には,子の出生後8か月余を経過して

親子関係の不存在を確定するための

法的手続が執られたとしても,

これが遅滞なくなされたものということは困難である。

 

しかしながら,上記事実関係によれば,乙は,

帝王切開により上告人を出産し,

退院後も長女と上告人を養育しながら,

自宅療養を続けていたというのであり,また,

出産を間近に控えた平成9年8月ころには,

丙からの連絡を待つだけで,乙の側から丙に

連絡を取ることはできない状態になっていたところ,乙は,

同10年3月ころ,弁護士に相談し,丙と上告人との間の

親子関係の不存在を確定するための法的手続を執ることとし,

そのために約3か月間丙の所在を調査したが,

結局,丙の所在が判明しないので,同年6月15日に至り,

上告人の親権者として,上告人の丙に対する親子関係不存在確認の訴えを提起し,

丙に対しては公示送達がされたというのである。

 

これらの事情に照らせば,上告人の出生から上記訴えの提起までに

8か月余を要したのもやむを得ないというべきであり,

本件においては,丙と上告人との間の

親子関係の不存在を確定するための法的手続が上告人の

出生後遅滞なく執られたものと解するのが相当である。

 

そして,上記事実関係によれば,Dは,

丙と上告人との間の親子関係の不存在を確認する判決が確定した

4日後に上告人を認知する旨の届出をしたというのであるから,

上記認知の届出が速やかにされたことは明らかである。

 

そうすると,本件においては,客観的にみて,

戸籍の記載上嫡出の推定がされなければDにより

胎児認知がされたであろうと認めるべき特段の事情があるということができ,

このように認めることの妨げとなる事情はうかがわれない。

 

したがって,上告人は,日本人であるDの子として,

国籍法2条1号により日本国籍を取得したものと認めるのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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