土地建物共有物分割請求本訴,遺言無効確認請求反訴事件

(平成13年3月13日最高裁)

事件番号  平成10(オ)936

 

最高裁判所の見解

遺言の意思解釈に当たっては,遺言書の記載に照らし,

遺言者の真意を合理的に探究すべきところ,

本件遺言書には遺贈の目的について単に「不動産」と

記載されているだけであって,本件土地を

遺贈の目的から明示的に排除した記載とはなっていない。

 

一方,本件遺言書に記載された「荒川区ab丁目c番d号」は,

Dの住所であって,同人が永年居住していた

自宅の所在場所を表示する住居表示である。

 

そして,本件土地の登記簿上の所在は「荒川区ab丁目」,

地番は「e番f」であり,本件建物の登記簿上の所在は

「荒川区ab丁目e番地f」,家屋番号は「e番fのg」であって,

いずれも本件遺言書の記載とは一致しない。

 

以上のことは記録上明らかである。

 

そうすると,本件遺言書の記載は,

Dの住所地にある本件土地及び本件建物を一体として,

その各共有持分を上告人に遺贈する旨の意思を

表示していたものと解するのが相当であり,

これを本件建物の共有持分のみの遺贈と限定して解するのは当を得ない。

 

原審は,前記1(5)のように

本件遺言書作成当時の事情を判示し,

これを遺言の意思解釈の根拠としているが,

以上に説示したように遺言書の記載自体から

遺言者の意思が合理的に解釈し得る本件においては,

遺言書に表われていない前記1(5)のような事情をもって,

遺言の意思解釈の根拠とすることは許されないといわなければならない。

 

以上のとおり,Dが本件建物の共有持分のみを上告人に遺贈したものと

解すべきであるとした原審の判断には,

遺言に関する法令の解釈適用を誤った違法があり,

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この趣旨をいう論旨は理由があり,

原判決中上告人の本件土地の共有物分割請求を却下した部分は破棄を免れない。

 

そして,本件土地の分割方法につき審理を尽くさせる必要があるから,

同部分を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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