甲地のうち乙地との境界の全部に接続する部分を譲り受けた乙地所有者と

残部分を譲り受けた者とが甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有するとされた事例

(平成11年2月26日最高裁)

事件番号  平成9(オ)104

 

最高裁判所の見解

一 境界確定の訴えは、公簿上特定の地番により表示される

甲乙両地が相隣接する場合において、

その境界が不明なため争いがあるときに、

裁判によってその境界を定めることを求める訴えであって、

相隣接する甲乙両地の各所有者が、境界を確定するについて

最も密接な利害を有する者として、その訴えの当事者適格を有する。

 

そして、甲地のうち境界の全部に接続する部分を

乙地の所有者が時効取得した場合においても、

甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある

隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、

境界確定の訴えの当事者適格を失わないのである

(最高裁平成六年(オ)第一七二八号同七年三月七日第三小法廷判決・

民集四九巻三号九一九頁参照)。

 

以上のことは、甲地の所有者が、

甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者丙に譲渡し、

甲地の残余の部分を丁に譲渡したが、甲地の分筆登記がされず、

甲地の全部について丁に対する

所有権移転登記が経由された場合も同様であって、

甲乙両地の境界を確定することによって初めて

丙及び丁が譲り受けた各土地の範囲が特定されるのであるから、

丙及び丁は、各所有する土地が相隣接し、

甲乙両地の境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、

甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有するものということができる。

 

二 これを本件について見ると、

原審の適法に確定した事実及び本件訴訟の経過によれば、

(1)兵庫県小野市a町字bc番dの土地と同番eの土地は相隣接する、

(2)被上告人は、昭和四〇年六月四日、同番dの土地のうち

原判決別紙合成図のP、「ハ」、「あ」、Q、Pの各点を

順次直線で結んだ範囲の土地(以下「被上告人取得土地」という。)を

前所有者のDから買い受け、同番dの土地全体について所有権移転登記を受けた、

(3)同番eの土地の所有者のEも、右同日、同番dの

土地の残余の部分(右合成図のQ、「あ」、「1」、「2」、

Qの各点を順次直線で結んだ範囲の約四坪の土地。

以下「E取得土地」という。)をDから買い受けた、

(4)E取得土地は同番eの土地との境界(以下「本件境界」という。)の

全部に接続するが、被上告人取得土地は本件境界に接続しない、

(5)Eが平成七年四月七日に死亡したため、

上告人らは、相続によってE取得土地及び

同番eの土地を取得してこれらを共有している、

(6)上告人らと被上告人との間に本件境界について争いがあり、

これを確定することによって初めて被上告人取得土地及び

E取得土地の範囲の特定が可能になるというのである。

 

右事実関係の下においては、被上告人所有の土地と

上告人ら共有の土地とは相隣接する関係にあって、

被上告人は被上告人取得土地の範囲の特定のために

本件境界を確定する必要があるから被上告人は、

本件境界について境界確定の訴えの当事者適格を有するものというべきである。

 

したがって、本件において境界確定の訴えの

当事者適格を肯定した原審の判断は、

正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、

所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。

論旨は採用することができない。

 

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