法人税法違反被告事件

(平成16年1月20日最高裁)

事件番号  平成15(あ)884

 

最高裁判所の見解

法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの)156条によると,

同法153条ないし155条に規定する質問又は検査の権限は,

犯罪の証拠資料を取得収集し,保全するためなど,

犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として

行使することは許されないと解するのが相当である。

 

しかしながら,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,

取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として

利用されることが想定できたとしても,

そのことによって直ちに,上記質問又は

検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として

行使されたことにはならないというべきである。

 

原判決は,本件の事実関係の下で,上記質問又は検査の権限が,

犯則事件の調査を担当する者から依頼されるか,

その調査に協力する意図の下に,証拠資料を保全するために

行使された可能性を排除できず,一面において,

犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として

行使されたものと評することができる旨判示している。

 

しかしながら,原判決の認定及び記録によると,

本件では,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,

取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として

利用されることが想定できたにとどまり,

上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは

捜査のための手段として行使されたものとみるべき根拠はないから,

その権限の行使に違法はなかったというべきである。

 

そうすると,原判決の上記判示部分は是認できないが,

原判決は,上記質問又は検査の権限の行使及びそれから派生する

手続により取得収集された証拠資料の証拠能力を肯定しているから,

原判断は,結論において是認することができる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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