競売手続一部取消及び停止決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

(平成14年10月25日最高裁)

事件番号  平成14(許)11

 

最高裁判所の見解

(1) 民訴法113条は,相手方の所在が不明である場合において,

相手方に対する公示送達がされた書類に,

その相手方に対し訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する

意思表示をする旨の記載があるときに,

その意思表示の実体法上の到達の効力を認め,

ほぼ同様の公示機能を有する民法97条ノ2所定の

意思表示の手続を重ねて執ることを要しないこととして,

表意者に二重の負担を掛けることを回避する趣旨の規定である。

 

(2) ところで,物上保証人所有の不動産を目的とする競売手続において,

債務者に対し競売開始決定正本が送達された場合には,

債務者に対し民法155条の差押えの通知がされたものとして,

同決定正本が債務者に送達された時に当該被担保債権について

消滅時効の中断の効力を生ずるが

(最高裁昭和47年(オ)第723号同50年11月21日

第二小法廷判決・民集29巻10号1537頁,

最高裁平成5年(オ)第1788号同8年7月12日第二小法廷判決・

民集50巻7号1901頁参照),

このように競売開始決定正本の送達によって

実体法上のいわゆる観念の通知が行われる場合について,

訴訟書類の送達によって実体法上の意思表示が

行われる場合と異なった取扱いをすべき実質的な理由はない。

 

(3) また,民訴法113条が,公示送達によって

相手方に到達したものとみなされる

意思表示を訴訟の目的である請求又は

防御の方法に関するものと規定しているのは,

訴訟の追行に必要な意思表示に限り

その到達の効力を認める趣旨と解されるところ,

競売開始決定及びその正本の送達は

競売手続の進行に必要不可欠なものであるから,

これによってされる民法155条の通知について

民訴法113条を類推適用することとしても,

同条の趣旨に反するものではない。

 

(4) そして,債務者の所在が不明である場合に,

競売開始決定正本の公示送達のほかに,

別途債務者に対する民法97条ノ2所定の手続による

通知を要するとすることは,

債権者に不相応の負担を掛けるものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク