行政書士法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件

(平成23年12月9日最高裁)

事件番号  平成23(さ)1

 

この裁判は、

当審において法律上犯罪行為に該当しないことを理由に

無罪となった共犯者の事件と法の適用に関し

別個に評価され得るような事情がないとして,

略式命令に対する非常上告が認められた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 本件行政書士法違反被告事件の共犯者とされたBは,

被告人との共謀により別表記載のとおり家系図3通を作成し

報酬の交付を受けた旨の上記行政書士法違反と

同一の公訴事実及び他の者との共謀による同種行政書士法違反の

公訴事実について,平成19年6月6日起訴され,

その作成した各家系図が行政書士法1条の2第1項にいう

「事実証明に関する書類」に該当しないと主張したが,

第1審裁判所は,各家系図は「事実証明に関する書類」に該当するとして,

Bを懲役8月,2年間執行猶予に処し,

控訴審判決もこれを維持した。

 

同判決に対しBが上告したところ,

平成22年12月20日当裁判所第一小法廷は,

各家系図は,個人の鑑賞ないしは記念のための品として作成され,

対外的な関係で意味のある証明文書として

利用されることが予定されていなかったとして,

「事実証明に関する書類」に当たらないと判示し,

Bに行政書士法違反の罪の成立を認めた控訴審判決及び

第1審判決には,法令の解釈適用を誤った違法があるとして,

控訴審判決及び第1審判決を破棄し,

Bに対し無罪の言渡しをした。

 

(2) 本件は,共犯事件であって,被告人において,

Bが家系図を作成することを知りつつ,

行政書士が使う「戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書」を

Bに有償で提供し,Bがこれを利用して不正に入手した

戸籍情報により本件各家系図を作成したという事案であり,

別表記載の家系図に係るBの上記行政書士法違反被告事件と

本件は家系図の作成に関する証拠が共通で,

認定できる事実も全く同一である。

 

そして,本件において,家系図の作成につき,

法の適用に関しBの行為と別個に評価され得るような事情はなく,

Bの行為について法律上犯罪行為に該当しないとすれば,

被告人にも家系図作成については犯罪が

成立しない関係にあるというべきである。

 

3 上記の事実関係の下では,原略式命令は,

その審判が法令に違反したことに帰し,かつ,

被告人のため不利益であることが明らかである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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