いわゆるみなし道路の通行妨害と妨害排除請求権

(平成12年1月27日最高裁)

事件番号  平成8(オ)1248

 

最高裁判所の見解

建築基準法四二条一項五号の規定による位置の指定を受け現実に

開設されている道路を通行することについて

日常生活上不可欠の利益を有する者は、

右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、

又は妨害されるおそれがあるときは、

敷地所有者が右通行を受忍することによって

通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、

敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び

将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)

を有するものというべきである

(最高裁平成八年(オ)第一三六一号同九年一二月一八日第一小法廷判決・

民集五一巻一〇号四二四一頁)。

 

そして、このことは、同条二項の規定による指定を受け

現実に開設されている道路の場合であっても、

何ら異なるものではないと解するのが相当である。

 

これを本件についてみるに、

前記事実関係によれば、本件私道は、

専ら徒歩又は二輪車による通行に供されてきた未舗装の道路であり、

上告人らの承諾を受けた請負業者が建築工事のため

一年間本件私道を自動車で通行したことがあるほかには、

自動車が通行したことはなく、被上告人らは、

Dが死亡した昭和六一年一〇月以降、

その共有地を利用していないのみならず、

右共有地を居住用としてではなく、単に賃貸駐車場として

利用する目的で本件ポールの撤去を

求めているにすぎないというのであるから、

被上告人らが本件私道を自動車で通行することについて

日常生活上不可欠の利益を有しているとはいえない。

 

そうすると、被上告人らの人格権的権利が侵害されたことを

前提として本件ポールの撤去請求を認容した原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

論旨は理由があり、その余の上告理由について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、原審の認定した事実によれば、

本件通行地役権は自動車の通行を

目的とするものではないのであるから、

右権利に基づく請求も理由がないというべきである。

 

以上に述べたところからすれば、

被上告人らの右各請求を棄却した

第一審判決は正当であるから、

被上告人らの控訴を棄却すべきである。

 

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