けん銃の譲渡しと譲受けの周旋の意義
(平成10年2月13日最高裁)
事件番号 平成9(あ)980
最高裁判所の見解
原判決の認定によれば、被告人は、
所属する暴力団の若頭からけん銃等の入手方を依頼されたため、
知り合いの暴力団組員にその当てについて打診したところ、
譲渡できる旨の連絡を受けたことから、その旨若頭に報告し、
けん銃等を持参した右組員を若頭に引き合わせて両名の
交渉する現場に立ち会い、若頭にけん銃等を入手させたというのである。
銃砲刀剣類所持等取締法三一条の一五にいうけん銃の譲渡しと譲受けの周旋とは、
譲渡人と譲受人との間で譲渡し、譲受けが行われるよう仲介することをいい、
本件のように譲渡人又は譲受人の一方からの依頼を受けて他方に働きかけ、
その者が応じた場合も仲介したということができるから、
被告人の行為は周旋に該当するものと解される。
しかし、その周旋行為によってけん銃の譲渡が実現したときは、
同条の周旋罪より刑の重い同法三一条の四第一項が
規定するけん銃の譲渡し又は譲受けの罪の幇助罪が成立するものと解されるから、
被告人につきけん銃の譲受けの罪の幇助罪の成立を認めた
第一審判決を是認した原判決は、結論において正当である。
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